ではいったい何をすべきか (寄り道) 現実的な政策

小幡 績

ここまでの(前)と(中)を読まれてつまらない、と思われた読者へ。

そうでしょう。泥仕合とはつまらないものなのです。

今までの政策議論の問題点は、読者のいるアゴラなどで行われていることにあったのです。

つまり、政治家相手に政策提言をする場合には、その政治家を喜ばさないといけない。票になるか、それならまだましだが、彼らのプライド、自分の思い込みの政策が素晴らしいということを裏付けてあげないといけない。

アゴラの論壇のような議論も同じです。

アゴラの読者が喜ぶような知的な議論をしないといけない。


しかし、それでは現実の政策提言としては意味がない。現実の政策を改善するための政策を議論しないといけない。

それは泥仕合であり、つまらないものなのです。

コメントを読んでも、ここには出てこない批判を読んでも、論理的でも知的でもなく、現実とも合致していない。

しかし、彼らに問いかけなければならない。

そして、なおかつ、つまらなくとも、論破できなくとも、正しいことを愚直に述べる。

それを追求しなくてはいけない。

景気が悪い、というのは、短期のビジネスサイクル(景気循環といっても同じだ)の上半分にあるか下半分にあるか、という分け方で言って、下半分にある、という意味であって、失業している人がいる、という意味ではない。景気循環から行けば、今後、復興需要の反動もあって、悪くなることは必然であろう。しかし、世界経済による影響も大きいから、今後、新興国が回復してくれば、景気にはプラスであり、その影響で相殺される可能性もある。

失業率の4.4%を高いと見るか低いと見るかは難しいところであるが、持続的に失業率を引き下げる、あるいは雇用を増やし、経済の潜在力を上げるためには、景気対策はプラスではなく、財源の枯渇という意味においてマイナスであるから、するべきではないだろう。

このような議論を続けることはつまらないが、このようにつまらないが、野田政権が行うべき政策とは何かを地道に議論していかなければならない。