企業にとってペイドメディア(マスメディア)とソーシャルメディアによって、できるだけ多くのライトファンの耳目を集め、トラフィックをオウンドメディア(自社メディア)に引き込むということが重要になってきています。テレビを見ていても分かると思いますが、大企業は「続きはWebで」「〇〇で検索」というオンラインへの導線を大きなお金をかけてCMに張っているわけです。
オウンドメディアがECやソーシャルゲームであるならば、そのトラフィックを直接的に換金できるので、あとは訪問客が実際に顧客になるまでのコンバージョンを上げることを考えられます。FXや生命保険などのサイトであっても、まあ同様です。メーカーであれば、そこで必要充分なコンテンツを与えて、消費者に”買いたい”という欲望を植え付けねばならず、飲食であればその店で食べてみたいと思わせて、そこからその商品を買いに近所の販売店やレストランに足を運ばせる(言ってみればO2O)ために、さまざまな工夫が必要になります。
いずれにしても、企業が考えるべきは、多額のお金やクリエイティブによって発生させたトラフィックを自社のサイトに引き込んだあとに、いかにしてそのトラフィックを換金するか、ということであり、オウンドメディアをより充実させることに投資を惜しんではなりません。
例えば、自社SNSとしては比較的良く知られているコカコーラ・パーク(会員数1000万人)は、規模だけで言えばFacebook、mixi、Twitter、LINEなどに次ぐ巨大な国産SNSです。
これにならって味の素も自分たちのソーシャルネットワークを作ることを発表し、7月25日に正式公開を準備しています。 味の素のファンクラブ?化学調味料の?と訝る方もいるでしょうが、彼らは自社のブランドの根源というか象徴として”料理のレシピ”を選び、そのレシピの共有サイトを作っています。そのレシピを支えるさまざま商品の提供者としての立ち位置を選んでソーシャルネットワークを作るのです。
ラグジュアリーブランドで有名なバーバリーは、Art of Trenchという、自分のトレンチコート姿の画像を訪問者がアップできるというインタラクティブなサイトを使って、ファンとの交流を図っています。(画像中心のデザインはPinterestにも通じますが、Flashだからモバイルには不適、さらにBGMが入っているのでオフィスでみるときは注意!その意味で設計自体は古い、でもいいサイトです)
同じトレンチコートブランドであったアクアスキュータムが破綻したのとは正反対に、彼らは若者に訴求するBlue Label やBlack Labelなどをうまく使いつつ完全再生し、さらに自社のオリジンであるトレンチコート愛を集約するサイトを作って、旬なブランドとしてのイメージを確立しています。
このように、オウンドメディアにトラフィックを引き込み、そこでコアファンをもてなす場所を設けるという施策が、優れたマーケティング企業には標準的な作戦として採用され始めているのです。彼らは、ソーシャルメディアを利用しつつ、Facebook、Google+、YouTubeなど、何カ所にも分かれているコンテンツや交流の場を、一カ所のハブ(僕はソーシャルハブと呼びます)に集約することで、ブランドパワーを最大限かつ効率アップしようとしているのです。
このソーシャルハブ戦略に基づき、企業はできる限りはやくオウンドメディアに投資を行い、正しくソーシャル化+モバイル化を行うべきです。ASAP!
– 小川浩( @ogawakazuhiro )