日経新聞が伝える所では、アプリ開発私塾に小学生 スマホが迫るIT教育の変革 との事である。
日本では専門的なIT(情報技術)教育は義務教育を終えてからでないと受けられない― ―。そんな状況を打破しようという動きが広がってきた。生まれたころから、デジタル機器 とネットに囲まれて育った「デジタルネーティブ」の世代の子どもたち …
確かにネット以前であれば、欲しいサービスや必要とする機能を入手する為には、「スタンドアローン」で設計、製造された端末の購入が必要であった。
しかしながら、日本国内であれば、今やネット環境は余程辺鄙な所にでも行かない限り保障されている。そして、所持する端末にアプリのダウンロードさえすれば必要とするサービスの提供は一瞬にして可能となる。結果、教育システム、中身や若者の働き方に、革命的な変化をもたらす事は確実と思う。
判り易い喩として「カーナビゲーション」を参照する。嘗ては、目的地へのルート検索をしようとすれば、比較的高価な「カーナビゲーション」端末の購入が必要であった。
「カーナビゲーション」製造の為には、「商品設計」、「部品の仕様決定」、「発注」、「納期管理」、「生産」、「プロモーション」、「商流の確立」が必要であり、このバックヤードとして、「労務管理」、「帳票管理」、「資金管理」等も必要である。早い話、一定規模の製造業でないと取り組めない訳である。
しかしながら、ネットに繋がった「スマホ」にユーザーが必要とする機能(この場合は目的地までのルート探索であるが)を提供するには「アプリ」の開発と提供で充分である。
結果、世の中から「カーナビゲーション」を製造する工場が消失し、工場に寄生する本社機能も同様リストラされる訳である。昨今の家電メーカー、ダウンサイジングの背景は、誤解を恐れず言ってしまえばこんな所ではないのか?
従って、これから必要とされる人間は「アプリ」の開発が出来る人間である。一流中学から一流高校、そして一流大学と言った古い世代が大好きな学歴等、床の間の掛け軸程の値打ちも無くなる。
「アプリ」の開発が可能な若者であれば、中卒での起業、独立も随分とハードルが低くなると思う。経理処理は会計事務所に、法律関連や契約書の管理等は法律事務所や司法書士へのアウトソーシングが今後の主流になると推測する。
出来る若者は中卒で起業、独立し、無能であったり、何をして良いか判らぬぼんやりした若者が大学迄進学する世の中になる様な気がする。そう言う展開となれば、大学は落ちこぼれの吹き溜まりと言う事である。
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役