財政出動に関する普通の話

小幡 績

当たり前の話をしよう。

財政出動について整理すると、3通りある。

1.起爆剤としての財政出動
2.需要を補填するための財政出動


2は2つに分けられ

2-1 需要の補填だが、経済が構造変化に直面し、その際の失業などの摩擦問題を緩和するための需要補填

2-2 需給ギャップを埋めるための需要補填。補填は補填そのものが目的
 
となる。

Keynesが、一般理論で提唱したのは、1の起爆剤としての財政出動。これにより、需要が喚起され、民間経済主体も投資、消費に復帰し、経済が動き始める。縮小均衡からの離脱のきっかけとしての財政出動。

現代における意義のある財政出動は、ほとんど2-1に当たる。

失業は良くない。これがKeynesの一般理論の第一の主張であって、それはKrugmanが唯一引き継いだものだ。

Keynesの第二の主張、あるいは一般理論の最もKeynesらしい部分は、失業は自発的でなくとも起こる、あるいは、不均衡が起こり、持続することがある、という主張だ。失業は解消しなればならないが、それは賃金の引き下げでも起きない。市場が機能しなくなることがあり、自然に任せていては、市場に任せていては、自動的に解決しない。

この理由について、Keynesがどう考えていたかは、アメリカンなKeynesの解釈では、賃金の下方硬直性で済まされているが、Keynes自身は、賃金が下がるとむしろ失業が増える可能性がある、と言っており、そういう問題ではない。ここは、また後で、議論したい。