産経新聞の伝える所では、韓国政府当局 提訴「応じぬ」との事である。
韓国の李明博大統領の竹島上陸への対抗措置として、玄葉光一郎外相が国際司法裁判所への提訴検討を表明したことについて、韓国外交通商省当局者は11日、「応じない」とする立場を明らかにした。韓国のYTNテレビが報じた。報道によると当局者は「提訴は独島の紛争地化が狙いだ。当事国である韓国政府が応じなければ(訴訟は)成立せず、応じることはない」との見解を示したという。
予想された通り、韓国側のまるで木で鼻を括った様な対応である。これを受けて、日本側に次の一手はあるのか?無ければ、更に舐められて韓国側のやりたい放題になってしまう。
一方、慰安婦問題に就いても、対日ネガティブキャンペーンはエスカレートする一方で、日本は只管国益を毀損している。
野田政権は内閣の使命として、韓国に依る日本への挑発を止めさせなければならないのであるが、果たして、その背景を理解しているのであろうか?
私は1990年に3年強に及ぶ中近東駐在を終え、大阪駐在で韓国市場を担当する事になった。結局、5年以上を韓国市場と付き合う事となるのであるが、その間、ビジネスの繁忙期には毎週の如く月曜日にソウル入りし、金曜日に帰国する様な生活を送った。
見かけは日本人と瓜二つであり、米飯を箸で食し、酒を飲み、漢字を使い、一見日本人と同じ価値観を持つと錯覚してしまう韓国人が、実は、我々日本人とは全く異質な存在である事を理解するに至ったのである。
とは言え、元より、「歴史」、「文化」、「社会システム」等が複雑に絡み合った結果としての今がある。これらを、全て説明するのは膨大な作業となる。従って、韓国ならではのエピソードに就いて列記してみたい。
韓国ビジネスを担当し始めて、最初の鮮烈な経験は「本貫との出会いである。ある会合で会社を経営する金氏を紹介されたのであるが、名刺を差し出しながらキムです、安東金です、との自己紹介であった。
安東は地名で、金は韓国を代表する姓である、差し詰め、日本で言えば「伊勢平氏」と言った所であろうか?後で知る事になるのであるが、李王朝時代、歴代王の妃は安東金氏依り出る事になっていた、名門中の名門なのである。金氏は紹介時そう言う事を言いたかったに違いない。
日本人は、韓国も日本同様の中央集権国家と思っているが、実態は、一皮剥けば本貫をベースとした「氏族」の集合体ではないのか?
次の経験は、「姓」に関するものである。会合で一人の身なりの良い紳士(本人自己紹介ではソウル大学卒)と話している最中に、私の韓国ビジネスの師匠である朴氏が突然私のスーツの袖を掴み、「あんな人と話しては行けません!」と厳しく諭すのである。
朴氏は李王朝時代の貴族階級である「両班」の家系出身でソウル大学政治学科卒のエリート。一方、身なりの良い紳士から受け取った名刺を改めて見ると、この資料でサンノム(賎民)と示されている姓であった。
普段温厚な朴氏の激高を思い出すにつけ、偏見とか偏見から来る差別とか言った生易しい物では決してない、まるで「人」と認めない様な激しい拒絶を感じた。今以って、「姓」に対する偏見と差別が韓国社会を分断しているに違いないと思っている。
最後は「地域差別」である。韓国の正規軍が多数の一般市民を殺戮した光州事件は当時世界を震撼させた。現在で言えば、差し詰めシリア内戦と言う所であろう。
この背景にあったものは、歴史的な全羅道、殊更、全羅南道に対する地域差別である事は明らかと思う。「百済」を今も引きずっているのである。
今一つは、韓国人に浸み込んだ、華夷秩序を貴ぶ秩序感覚とここから派生する「地域差別」である。
中国を世界の中心に据える華夷秩序であれば、冊封体制に依り、韓国が小中華となる。韓国の中心はソウルであり、ソウルから遠くなる程蔑視される訳である。
結果、全羅南道に住む国民は正規軍に依り虐殺され、海の向こうに住む済州島の島民は人間扱いされない。更に済州島の遥か彼方の日本に住む日本人は獣と言う理屈になる。事実、酒の席で韓国人が日本人の事を話す時は、「チョッパリ=豚の足」と言う言葉を好んで使う。
韓国は地域分断された国なのである。次期大統領には、故朴正熙元大統領の娘「朴槿恵」氏の当選が有力視されているが、そうなれば、同氏の支持基盤である、慶尚北道、慶尚南道が優遇される事は確実であり、地域対立や格差が是正されるとはとても思えない。
結局の所、韓国の為政者が国民の気持ちを一つに纏めようとすれば、韓国人から見て野蛮人の住む日本を仮想敵国に見立て、国民の怨嗟、憎しみを煽り、日本を攻撃する事で国民に対し偽りのカタルシスを提供するしかないのである。
戦後、日本は韓国の旧宗主国として寛大な態度を取り続けて来た訳であるが、もうぼちぼち日韓関係を正常化しても良いのではないか?
山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役