慰安婦問題については国内から罵倒が来ることはなくなったが、海外メディアは性懲りもなく虚報を繰り返している。15日付のアムネスティ・インターナショナルの声明も、そういう伝聞情報にもとづくデマだ。
今年は、米国下院が日本政府に対して日本軍「慰安婦」生存者に対する誠実な対応を求めた決議案の採択から5周年である。この決議案では、強制された性的労働が「前例がない残虐さと規模」で組織された「20世紀で最大規模の人身売買」だと説明している。
2007年、米国の採択に加え、カナダ、オランダ、韓国、台湾、EUに加盟する27カ国からなるヨーロッパ議会などすべてが、これを決議し、日本政府に対し、女性たちに対して犯した罪の責任を認め、謝罪を要求する決議を発表した。
この慰安婦非難決議なるものは、韓国系ロビーのプロパガンダである。彼らの根拠は元慰安婦と自称する韓国人女性の(史実と矛盾する)話だけで、物的証拠は一つもない。アムネスティも「アジア太平洋地域の女性は、1932年ごろから第二次世界大戦終結まで、日本帝国の軍隊によって性的な強制労働をさせられた」と断定するなら、その証拠を見せるべきだ。
戦前の日本で人身売買が広く行なわれたのは不幸なことだが、それは「軍隊による性的な強制労働」とはまったく別だ。人身売買は戦前の日本でも違法行為であり、日本軍は慰安所を運営する業者に警告していた。たとえば朝日新聞が「慰安所 軍関与示す資料」と報じた1938年3月4日の通達はこう書いている:
支那事変地における慰安所設置のため、内地において従業婦等を募集するに当り[・・・]不統制に募集し社会問題を惹起するおそれあるもの、あるいは募集に任ずる者の人選適切を欠き、ために募集の方法、誘拐に類し警察当局に検挙取調を受けるものあるなど注意を要するものが少なからざるについては、将来これらの募集などに当っては派遣軍において統制し・・・
ここでは業者が「不統制に募集し社会問題を惹起するおそれあるもの」を軍が取り締まるよう通達し、特に「誘拐に類する」方法で慰安婦を強制的に連れてくることを禁じている。こういう文書はいくらでも見つかるが、その逆に軍が誘拐や拉致せよと命じた文書は1枚もないし、軍人・軍属の証言も(詐話師の吉田清治以外は)まったくない。
慰安所の運営に軍が「関与」したことは日本政府も認めているが、それは危険な戦場では軍の管理が必要だからだ。慰安婦の数も、秦郁彦氏の推定では、太平洋戦線全体で2万人程度で、そのうち人身売買は1割にも満たない。慰安婦の平均賃金は「慰安所管理規定」では月400~500円で、二等兵(7円50銭)の60倍ぐらいだった。「20世紀で最大規模の人身売買」などというのは、事実無根のいいがかりである。
欧米メディアは一次資料も読まないで、英文の伝聞情報だけで「日本軍は性奴隷を連行した」などとデマを流している。これはアジア人を蔑視する「オリエンタリズム」であり、それを無批判に信じて日本人の名誉を毀損するアムネスティこそ人権侵害である。
追記:慰安婦の募集ビラ(『京城日報』に掲載されたもの)には「月収300円以上」と書かれている。これは現在の物価で150万円ぐらいだが、こんな高給の「強制労働者」がいるだろうか。