海外へ出て恥をかかないための4つの事柄 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

日本人の国際化ということが改めて意識される時代になりました。大手企業の一部では新卒者の採用を日本人枠と外国人枠を設けたり枠そのものがなかったりで、まさに就職が国際競争化しつつあります。また、就職できたとしても企業そのものの体質は海外依存度が高まっており、海外と否が応でもビジネスをしなくてはいけない時代になってきたのです。


数年前、新聞の「海外に出たがらない日本人」という記事で半数以上がいわゆる国内派で海外勤務は断る、という結果が出ていました。理由として教育や家族のことが上げられていますが、要は行きたくないというのが最大の理由かと思います。

それから僅か数年で企業の環境は激変し、海外なくして日本は収益を上げられなくなりつつあります。極論すれば海外で稼いで国内を食わせる時代が一歩一歩近づいてきたともいえるわけです。これに焦っているのが若者だろうと思います。それまでのほほんと過ごした大学時代に突然外国人との就職戦争を余儀なくさせられるのです。さぞかしたまったものではないでしょう。

ですが、目覚めただけでもそれは良しとしなくてはいけません。では国際人に第一歩を踏み込むにはどうしたらよいでしょうか? 以下、私の経験からのアドバイスです。

  1. まず日本を知ってください。歴史、文化、社会、経済、宗教観、国民性…。若者は余りにも日本を知らなさ過ぎます。ですので海外に出ても日本を説明できないのです。以前にも書きましたが私も19歳でイギリスに行って「日本のティーセレモニー」について聞かれたとき、本当に困ったのですが、それを質問したイギリス人が「何でお前はそんなことも知らないのか」という顔をした方がもっとショックでした。

  2. 海外の常識を知ってください。それにはその国の歴史をうんと勉強してください。但し、何年に何があったという細かいことよりも、民族、宗教、周辺国との関係、大きな戦争などを含めた大局観です。

    国際人になるには日本とその国のことを討議することが一番の早道です。NHKのクールジャパンはまさに外国人が日本のことをどう思っているかということを面白おかしく番組にしていますが、そのミニバージョンを自分で経験するということに他なりません。

  3. 世界にはいろいろな常識があるということを知ってください。あなたの経験や判断基準は案外役に立たないことが往々にしてあるということに気がつくでしょう。
  4. 質問されたら考える癖、そして、それを納得してもらえるまで説明する癖をつけてください。これは大変です。ですが、考えて自分の考えを主張することが日本人に最も欠落している部分なのです。相手が何を知りたいのか、ポイントを捉え、ロジカルに主張する訓練をしてください。日本人は「そう決まっているからそうだ」というさっぱりわからない説明をする人がいますがそれでは相手を説得することは出来ません。つまり、あなたが表面的な知識だけ身につけていたら誰一人説得することは出来ないということです。

私も19歳のときから始まった日本と海外の行き来、その後の長い海外生活を通じてメンタリティーは完全に海外仕様と日本仕様の使い分け状態になっています。ですが、今後、このような環境に置かれる人はどんどん増えることでしょう。それはある意味、あなた自身が器用にならなくてはいけないということかもしれません。

なかなか難しい世の中になったともいえるかもしれませんね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年8月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。