どうなる、波乱含みで年末へ入る政治と経済 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

家電御三家の決算が出揃い、シャープは予想通り悪く、13年3月期に4500億円の赤字を見込むと発表しました。一方、ソニーは下方修正はなく通期利益は200億円となったことで「ソニーよ、お前もそうなるのか」と先回りして前日下げていた株価は金曜日にはとりあえず買い戻しが入っているようです。


シャープについてはこのブログでずいぶん書きましたので今更どうこう言うつもりはありませんが、最近の動きを見ていましてこの会社はどこかがきっと救うことになり、最悪の結果はないと見ています。ただ、台湾の鴻海グループに出資をしてもらうよりも違うパートナーを探したほうがシャープにとってというより日本にとって正解のような気がいたします。

鴻海グループは余りにも巨大なEMS会社となってしまい、シャープを大事なパートナーとして扱ってもらえるのか個人的には疑問視しています。それよりもシャープの持てるノウハウを十分に利用し、それを引き出してもらえるような企業と一緒になったほうがよいかと思います。以前、アメリカの名だたるIT関連企業の名前も取りざたされていましたが私は鴻海ならむしろ、そちらのほうが面白いと思っています。

ソニーについては今は十分にコメントするタイミングではないと思いますが、平井体制として何処まで開花できるか、あと半年は待たねばならないのでしょうか?

一方、前沢社長の暴言が話題となったゾゾタウンのスタートトゥデイ。送料無料でポイント10倍でごめんなさい、と表明されました。社長の一言はずいぶん高いものについたというのが正直な感想です。しかし、この対策は同社の本来の経営路線からは大きく舵を切り、価格競争を前面に打ち出す前哨戦とも取れなくありません。もともと定価ながらもネットで選べる楽しさが同社の成長を支えてきただけにゾゾタウン、お前もか、という残念な気持ちがないわけでもありません。

目を転じてアメリカ。いわゆる10月の雇用統計はアメリカ時間の明日発表ですが、本日発表されたADPの雇用レポートは事前予想を上回る展開。失業保険申請者数も予想を下回る状態で明日の雇用統計はネット125000人増で失業率は0.1ベーシスポイント悪化の7.9%が市場予想となっています。大統領選を直前に控え、この発表は大きな影響がありますが、案外よさそうな雰囲気はあります。ただ、あくまでも速報値なので恣意はないとは思いますが、発表された数字をどう読み込むか、その辺りがポイントなりそうです。

北米はハローウィンが終わり、いよいよ、クリスマス商戦の前哨戦がスタート、アメリカのサンクスギビングまでの約1ヶ月間はさまざまな意味をもたらす時になる可能性があります。出足は悪くないと見られているほか、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、アップルの熾烈な新商品販売合戦が今年の目玉になることは間違えなく、盛り上がらないはずがないというのが私の希望的観測です。

今年もいろいろありましたがカレンダー的にはいよいよ最後の直線コースに入った感があります。アメリカ、中国、韓国がトップ交代の可能性を含めた大きなイベント。日本は選挙があるのかないのかの山場。また、12月に予定されているプーチン氏と日本の首相との会談が気になるところです。欧州はドラギ氏の力技でどうにか押さえ込んでいるという感じです。

これからまだまだ一波乱、二波乱あるのでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年11月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。