予想通りの自民大勝となりました。また過半数取得により実質的にねじれ国会の解消にもなるわけで少なくとも法案などは通りやすくなり政治機能が正常化する可能性は高くなります。そういう意味では日本の将来に薄日が差してくる結果となりました。
私は今回の選挙の結果は民主党の自滅であり、雨後のたけのこのように現れた新党ブームに対して組織力と過去の歴史を踏まえて正攻法で望んだ自民党が地すべり的勝利となったということであって消去法に近い選び方だったともいえなくはないと思います。事実2009年に自民党が大敗してから自民党の体質がどれだけ変わったかという点については今のところ未知数であります。
ただ、今回、落選した議員を見ていると現職大臣が8名、しかも官房長官も落選であり、菅直人元総理も比例で復活という散々な結果になっています。これは民主がいかに駒不足になっていたかということを如実にあらわしています。私は折に触れていっているのですが日本の戦後の政党において二大政党が可能かということが話題になりますが無意味である、と考えています。
なぜならば日本は海外と違い、資本家と労働者階級という分類がないのであって国民が一体となる構造が強く働きました。戦前も民政党と政友会という二大政党時代がありましたが崩壊し、軍部独裁に変わっていきました。あるいは小党乱立だった際の細川政権は結局ワークしませんでした。理由は簡単で日本はひとつであること、そして小党には党内の駒が不足しているのです。民主党の末期、野田政権は大臣任命に相当苦労したと思います。なぜならブルペンに控え選手はほとんど残っていなかったからです。
その点、自民党は長年の歴史を通じて人脈、影響力、官僚との適応能力など十分なものを持ち合わせています。よって、今後日本は再び自民党主体で野党が軌道修正していくスタイルがしばらく続くものと思われます。また、日本にとってはそれのほうがさまざまな形で当面はメリットがあるとは思います。
ただ、安倍政権が十分に機能するかどうかについては十分に注意して見守る必要があります。たとえば金融緩和と円安については12月中は強力に推し進めるはずですから目先あと数円の円安はありえると思います。ただし、米ドルも崖の問題に債務上限問題を抱え、来年早々には弱含むと見られますから円とドルで弱さ競争をすることになります。
あるいは中国との関係修復、更には19日に迫った韓国の大統領選を踏まえた隣国との関係改善など外交問題は目白押しであり、海外で右翼化しつつあると評される日本に対してどのような対応をとっていくのか、安倍政権にとってそれは相当の茨の道であることには違いありません。
とはいえども少なくとも国民が再度選んだ自民党ですから大いにがんばっていただきたいものですね。
多くの評論家、専門家、ブロガーがこの選挙に関してさまざまな意見を述べるでしょう。私もそれらを楽しみに読むことにします。新しい日本が、そして期待できる日本が2013年に訪れることを祈念しましょう。
今日はこのぐらいにしておきます。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年12月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。