あけましておめでとうございます。今年もさまざまな見地からブログ書きたいと思います。よろしくお付き合い願えればと思います。
さて、恒例の年初企画 世界と日本の2013年を考えてみたいと思います。今日は世界編です。
地球儀をくるくる回して世界のベクトルはどちらに向いているのか考えてみると大所高所のポイントは案外つかみやすいものです。それは地政学的でも経済の成熟度ベースでみても良いかと思います。
今までの常識は先進国は消費旺盛で新興国は先進国に輸出することで潤う、という循環装置が機能していたと思います。この循環装置が今後、果たして今までどおりワークするのか、というのが私が懸念する今年最大のテーマであります。それは経済学が時代にすり寄るように主義主張が変わってくるようなものでこの疑問は多分、誰も考えていないかもしれません。
それはアメリカのエネルギーや物資の自給率の向上に伴う新興国との循環機能不全が生じるかもしれないという危惧であります。アメリカは金融緩和を通じてドルを大量に印刷しました。理論的には印刷すればした分だけ通貨価値は下がるはずですが幸いにしてユーロも日本も緩和していますからなんとなくバランスが取れているような状態です。ドルが安くなるバイアスが強くなるとすればアメリカにとって製品を内製することにメリットが生じる可能性はあります。そしてそれ以上に脅威なのはエネルギーの自給でしょうか?これは地球儀ベースでの力関係すら見直さざるを得ないことになるかもしれないのです。
一方、ヨーロッパはどの経済予想を見ても景気後退ないし、かなりの低成長を余儀なくさせられる可能性は高いと思います。特にドイツはユーロ安で輸出が潤っていたもののその流れも変わってくるでしょう。南ヨーロッパの価格競争力は中国に取って代わられているわけで今後も構造的な経済低迷からはそう簡単には脱出できないだろうというのが私の読みです。
中国ですが、一般的な見方は回復するのではないかと見られています。私はまだ懐疑的です。経済成長は世代を超えた教育と時代認識の変化を伴うことで定着してくるものです。急激な経済成長は必ず振り戻しが来て中期的に見れば数十年のスパンでようやくそれなりに成長が確立されるものです。私は中国はこの振り戻しがまだ終わっていないと見ています。ですので目先の指標は回復を見せるかもしれませんが、もともと統計の信頼性が低いわけですし、習体制としてそれなりの格好はつけなくてはいけないことを考えれば我々はむしろ惑わされないようにしなくてはいけません。
資源国であるオーストラリアやカナダ、ロシアは弱含みを想定しています。オーストラリアの利下げはまだあるかもしれませんし、カナダは予想される利上げが出来るとは思っていません。カナダ中央銀行は既に1年半ぐらい「利上げの狼少年」になっていますが私は当初から利上げができるわけがないと言い切っていました。今年もそのチャンスはかなりスリムだとみています。
世界経済はアメリカは自力で年後半にかけて上昇、東南アジアはまだしばらくはいけると思います。ヨーロッパは低迷しながらユーロ問題解決を模索することでエネルギーを費やすのではないかと思います。イタリアは総選挙がひとつのキーになるかもしれません。
イギリスも低迷していますが、この国は政治的に大きな行動を起こすことが歴史的にままありますのでサプライズには注意しています。どこかで読んだのですが、イギリスがポンドを止めてドルになるかも、とありましたが、これは極論にしろ大陸とイギリス、その後ろのアメリカというのは歴史が物語るものがありますからその点も引き続き、マインドには入れておいた方が良い気がしております。
個々の内容についてはまた今後、このブログを通じて掘り下げていきたいと思います。
明日は日本の2013年を考えてみたいと思います。
今日はこのぐらいにしましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。