パロデイー:日中・日韓紛争、鳩山氏引退を振り返る!

北村 隆司

謹賀新年           

党派争いが目立ちユーモアが消えた昨今、昨年の政治的な話題をパロデイー風に振り返るのも一興かと思う。

国民から「NO」を突きつけられた「ドジョウ宰相」は、放射能汚染の「土壌」を残して去った。

ドジョウを苦しめた小沢一郎氏は、自分に都合が悪くなると電話にも出ず、雲隠れする悪癖があると聞くが、居留守がばれて客人の怒りを買うと「本人がいないと言っているのだから、それ以上確かな事はないだろう」と居直った吉田茂の、ユーモアと余裕があればと惜しまれる。


今年の大きな政治課題にTPP参加問題があるが、それ以上に気になるのが、「天気晴朗ナレドモ波高シ」の電報で始まった「清潔好きな中国人」「温厚な韓国人」「信心深い日本人」が住む、北東アジアでの近代史観を巡る争いである。

この問題の解決には、高度な戦略と忍耐が求められるが「サンボウ」とは「 無謀 , 乱暴 , 凶暴 」の三つを併せ持った人物だと誤解するくらい「戦略音痴」の日本外交が、「想定外」を交渉失敗の「万能薬」に利用する事が心配である。

ある新聞の時事川柳に「鳩が出て首尾よくいったためしなし」と言う秀作があったが、当事国間の根強い偏見がからんだ日中、日韓の歴史認識を巡る紛争の解決には、「博愛思想」を掲げた鳩山氏への期待が大きかっただけに、同氏のの挫折は残念でならない。

問題は、鳩山氏の博愛思想は「謙虚な中国人」「主張がはっきりした日本人」「忍耐強い韓国人」と言う、理想的な条件が存在する事が前提で、これは現実的ではない。

教育熱心で知られる日中韓の3国だが「日本の英語教育」「中国のマナー教育」「韓国の常識教育」の様な全く役立たない教育制度や、「法律で許されないものは全て禁止の日本」「法律に違反してもしなくても刑務所に入れられる中国」「日本及び日本人に対する犯罪は全て許される韓国」等、各国がお互い相容れない法体系を持っているのが現実だ。

経済的に豊かになったとは言え、「余裕のない日本」「意見のない中国」「自制心のない韓国」など、不足しているものも山積している。

外交でも「自分の国の悪口を言う日本」「日本の悪口を言う韓国」「日本と韓国の悪口を言う中国」等、3国の外交姿勢も大違いだ。

この様に、大きな国民性の違いと偏見がある現実を認めなければ、どんな外交政策でも「イギリスの料理ガイド」や「北朝鮮の約束」と同様、とても信用できるものではない。

それでも「博愛思想」に導かれた鳩山氏は、首相在任中に後世に残るこんな名言、至言を残した偉大な宰相であった :

私は、国というモノがなんだか良く分らないのですが、日本国が日本人だけの為にあるものだとも、日本列島が日本人の所有物だとも思っていません。

だからこそ、在日の方が日本の総理大臣になられたとしたら、それは大変素晴らしいことだ と思い、死を覚悟してでも、外国人にも参政権を与えたいと言う信念を持っているのです。

実は、私が首相になるまで政治主導、官僚任せの意味をどういうものかわからないまま『政権交代するぞ』と言っていましたが、正直、政権交代する前の方が楽でした。

世襲が日本の政治をゆがめてきた事は、世襲の私が言うのだから間違いありません。トップの首相が大馬鹿者であれば、そんな国がもつわけがない し、確かに私は愚かな首相かもしれません

鳩山氏も偉大だが、この様なな人物を首相に選んだ日本国民も、賞賛に値する。

こうして、失意の内に引退を決めた鳩山氏へのはなむけとして、島崎藤村作詞の「惜別の歌 」の替歌を作ってみた。

ここをクリックして、小林旭の動画をバックに口ずさんでみて欲しい。

       ―鳩山氏に送る「惜別の歌」―

      原作              替歌

1.遠き別れに 耐えかねて    秘書の逮捕も 耐えしのび
  この高殿に 登るかな     この官邸に  登るかな
  悲しむなかれ 我が友よ    悲しむなかれ 我が友よ
  旅の衣を ととのえよ     選挙資金は  母がみる

2.別れと言えば 昔より     沖縄基地は   県外に
  この人の世の 常なるを    必ず出すと   申せしも
  流るる水を 眺むれば     移転先には   断られ
  夢はずかしき 涙かな     トラストミーも 果てるかな

3.君がさやけき 目の色も    韓流文化に  あこがれて
  君くれないの くちびるも   参政権を   献上し
  君がみどりの 黒髪も     友愛思想   示そうと  
  またいつか見ん この別れ   もがいて見たが もの別れ 

4.君がやさしき なぐさめも   心やさしき   小沢氏の
  君が楽しき  歌声も      お陰でうまく  宰相に
  君が心の   琴の音も    なっては見たが 孤立して  
  またいつか聞かん この別れ   悔しき中に   この別れ

年頭の誓いや願い事の実現の難しさは「禁煙なんて簡単だ。私はもう100回はやったね」と言ったバーナード・ショウの名言にある通りだが、今年は「巳」年。蛇は「復活と再生」の象徴と言われ、日本の世直しにはもってこいの干支である。 安部政権が :

“年金で 税金払って チャラになる”

と言う、日本の現状を改善してくれる事を夢見ながら迎えた新年であった。

注:「惜別の歌」の替歌と「鳩山語録の編集」は自前だが、その他のジョークや川柳の殆どは、世の中の賢者からの拝借物だと言う事を告白しておきたい。  

2013年1月吉日
北村 隆司