ブラック化する社会で生き残れ

アゴラ編集部

大阪高裁が、過労死を出した企業名の開示請求を却下した、という記事がありました。ネット上では、この判断をめぐって議論が交わされている。今後の被害者を減らすために開示するのが当然、という意見が多いんだが、中には、過労死が表沙汰になる企業はまだマトモだ、なんて意見もあります。

この「ニコブログ」もどうして開示しないのか、そっちのほうが不審、と書いています。大阪高裁は企業側に過失などがなかった場合の風評被害を勘案してるわけなんだが、そりゃ深謀遠慮過ぎ、という批判も出てくるでしょう。過労死の社員を出しただけで、必ずしも即ブラック企業の烙印を押されるわけじゃない。デフレ不況の「コスト」と切り捨てられれちゃ、過労死した人間は浮かばれません。


こっちの「Bizトピックス︱キャリコネ」では、就活時にブラック企業を見抜く方法を伝授。会社説明会などに出てくる説明担当の印象で決めたら後悔する、高圧的だったり疲れてるように見えたら要注意。質問するとあいまいな表現をする企業はブラックの可能性大、というわけ。こうした対策が学生側に広まれば、とうぜん企業側も対抗策を講じてきそうです。

いずれにせよ、今の社会はすべての人間に平等に優しくはないし、すべての人間が望み通りの人生をおくれるわけでもない。「ゴールデンタイムズ」では、2ちゃんねるで話題のコピペを紹介。これは「ニート問題:心ある方のみお読みください」という短文で、「生活面の才能が極端にな」く「羞恥心が非常に強い、人の評価を異常に気にする、人の態度や言葉に傷つき易い」ニートに愛の手を、というもの。一般常識を教えられないまま大人になっちゃったから大目に見てよ、ということです。

高度成長期で伸びシロがあり一億総なんとかの時代ならともかく、社会の受け皿はもうそう大きくもありません。表題のブログでは、厚労省が「追い出し部屋」の実態調査に乗り出した、というマスメディアの報道から正社員の「使用価値」について書いています。会社にとって「必要とされる」ためにスキルを磨き続けなければならない、というわけ。エントロピーは増大するので当然そうなる。カタチあるモノはいつか必ず壊れ、命あるモノはいつか必ず死にます。

フリーライダーを養ってる余裕などすでに社会にない、ということです。予定調和な近代合理主義的市民社会が崩壊しつつあるのかもしれない。社会がブラック化しつつある。このままだと、みんなが囚人のジレンマになり、平等に貧乏になるしかありません。都市のブラック企業で過労死せず、貧乏でも地方でのんびり暮らせるようになればメッケモンです。
ITエンジニアの社会学
スキルの賞味期限が短くなっている


Wikipediaが実在しない戦争を5年間載せ, 昨12月にやっと削除
Tech Crunch 日本版
何か調べものをするとき、Wikipediaを過信するな、というのはすでに常識です。アレにはかなりいい加減な情報が多いんだが、その多くはたぶん「意図的」に挟み込まれている。Wikipediaで調べて同じ文言がネット上にないか探し、見比べて検証する、というのは当然としても、百科事典をちょっと引けばすぐ真贋がわかります。Wikipediaの編集者というのはごく普通のネットユーザーなんだが、この記事によると「Good Article(優秀記事)」の称号までゲットしたそうだ。一次情報の重要性は自明なんだが、マスメディア発の一次情報でさえ、疑ってかかるべき時代でもあります。

This Guy Is Teaching Your iPhone To Detect Bad Breath … And Other Smells
Business Insider
味や香り、つまり味覚と嗅覚をそなえたiPhoneが登場する、という記事です。こうした五感に訴えかけるセンシングはかなり難しい。それは簡単に言えば「人それぞれ」だから。いい臭いと悪い臭いをどう評価するのか。ただ嫌な口臭だけ、というように単体なら今の技術でもなんとかなりそうです。自分では気づかない口臭をスマホに教えてもらえる時代になったんですね。

「我ら明清親衛隊」
弐代目・青い日記帳
規模の比較的小さい公立美術館がこのところ頑張ってます。ユニークな新視点での企画やレアなコレクションなんかで注目。この「板橋区立美術館」もその一つです。このブログによると名物館長さんがいたらしいんだが、今年の3月で定年退職するとのこと。彼が手がけてきた「江戸文化シリーズ」も見納め、ということです。これはもう展示終了しちゃった「我ら明清親衛隊」。ブログを読むだけでも充分に興味深い。次回展の「狩野派以外も大賑わい」は2013年2月23日~3月24日。次の館長さんがどんなシリーズを始めてくれるのか、というのも楽しみです。

阪大、光刺激に反応して生き物のように動く人工筋肉を開発
SJNニュース 再生可能エネルギー最新情報
湿潤ジェル(ゲル)の一種を使って物体を物理的に動作させる機構を作った、という話なんだが、これが阪大のリリースです。光(波長)の刺激、というのがミソらしい。難しく言えば「ホスト-ゲスト相互作用」というんだそうです。我々の神経や筋肉、また脳自体も何かの刺激によって反射するわけで、「カギとカギ穴」の関係のように、特定の何かを選ぶ側、そこに選ばれる側、という関係になる。この研究によると、ジェルがカギ穴で光がカギになります。カギがカギ穴に入ると何か反応が起きる、というわけで「今までにない画期的な動作系」らしい。人工筋肉、というのは次世代の基礎研究分野なんだが、何やら可能性のありそうな研究ではあります。

[album snippets] Teena Marie ‘Beautiful’
bmr
「Ivory Queen of Soul(白きソウルの女王)」と呼ばれていた大御所の遺作らしいんだが、なかなか聴かせます泣かせます。彼女の功績は、同じサイトのこの記事に詳しい。80年代に訴訟を起こし、レコード会社がアーティストを飼い殺しにする契約を無効にする裁判に勝った、というわけです。米国のアーティストがどれほど彼女に救われたかわからない。これはその『Beautiful』試聴版紹介記事です。

中国がASAT(衛星攻撃兵器)実験をするという噂
海国防衛ジャーナル
武器、というのは抑止的な効果もあるわけで、持ってるか持ってないかわからない状態自体にも抑止力があります。核兵器なんかがいい例なんだが、技術的に可能だけど持ってない(かもしれない)、というのは一種のブラフにも使える。北朝鮮が人工衛星モドキを打ち上げて世界中を驚かせたのは記憶に新しいところ。宇宙空間が技術的先進諸国の独占であった時代は過ぎたわけです。このブログによると、中国が宇宙空間で敵対国の衛星を破壊する技術的な可能性を高める、と書きつつ、本気度は低い、としています。これも一種のブラフになるんでしょう。

手抜き除染 やはり夏から苦情殺到も環境省握りつぶす 鹿島JV 大日本土木 前田建設 大成建設
ざまあみやがれい!
これ、ずいぶん前からウワサはされていた話です。除染作業を請け負うのはゼネコンなんだが、実際の作業を連中がやるわけじゃない。ずっとずっと下の業者にやらせてるわけです。その業者っつーのに実態のよくわからない「組織」が入り込んでる、なんてことも取り沙汰されている。ぶっちゃけ反社会勢力なんだが、不法廃棄物投棄の罰金が1千万円以下なんでそれ以上の利益が見込まれれば恐れずにやっちゃう、なんてこともあるんでしょう。民主党時代の環境省から半ば公然と行われてたようで、監督責任は自民党にはありません。「地雷を踏まされた」とされる石原伸晃環境相がどう対応するか、というのはまた別の話です。

ダークマターとは何か…NASAが宇宙空間に存在する物質の研究動向を解説
レスポンス
ここんところの宇宙論なんかによく出てくるのがこの「ダークマター」あるいは「ダークエナジー」です。ダースベイダーみたいな感じなんだが、もっと難解で正体不明だ。この記事では、NASAの解説からダークマターについて紹介してるんだが読んでもよくわかりません。さらに「ダークマター」の解明につながると言われている「超対称性理論」になるとお手上げだ。左手と右手や鏡像関係、さらにパラレルワールドさえも想起してしまいがちな物質の超対称性、というのはもともと日本人の物理学者、宮沢弘成氏によって提唱された学説なんだそう。ようするに、我々の知らない物質がまだまだあるんじゃないか、ということです。

一休.com、新ヘルプ・サイトで顧客体験を向上──オラクルの「RightNow CX」をクラウドで導入
Computerworld
いろんな意味でお世話になってる一休さんなんだが、新しい機能を入れたらしい。それがネット上でユーザーからの質問に自動で応答するシステム。カスタマーセンターがふさがって待たされた、つながらない、というのはよく聞く話でクレーム以前の問題なんだが、これはチャット状態で質問の答えてくれるんだそうです。一種のCRM(Customer Relationship Management)なんだろうが、生身の人間ほど親身になって相談を聴いてくれそうじゃないな。


アゴラ編集部:石田 雅彦