2013年も残り97.3%:スタートアップしてますか?

2013年最初のエントリーです。みなさま、よい新年のスタートを迎えられましたか?

1日は1年の0.27%、ということは1月10日の今日が終われば2.7%を消費したことになります。一休禅師は正月は冥土の旅の一里塚、と皮肉りましたが、人間はいつか死ぬ。その限られた時間がどんどん消費されているのだと考えると、やはり無駄にはできませんね。

このBlogでもたびたび言及していますが、急成長を目指すことを自らのDNAに刻み込んだ新興企業をスタートアップ、といいます。僕はベンチャーよりもスタートアップという言い方の方が好きですが、最近ではだいぶ世の中にこの呼称が浸透してきたように思います。

先述のように急成長、急拡大を目指さなければならないスタートアップは、数年経っても増殖できなければ、細胞が壊死するように、自己矛盾の中で崩壊する宿命にあります。ブラック企業よろしく経営者はもちろん社員全員にもハードワークを課さざるを得ませんが、成長していけばその労苦に報いるリターン(報酬や自己満足)を与えられますが、成長が止まればモチベーションも一気にダウンしてしまいます。結局のところスタートアップとは、ハイリスクハイリターンで、一生分の報酬を数年で得ようとする試みだからです。

昨年の秋から、僕はサイバーエージェント・ベンチャーズが運営するインキュベーションセンター「SBC(スタートアップベースキャンプ)」間借りして、新しいスタートアップに挑戦しているのですが、そこには多くの若い起業家たちが仲間たちと新しい市場開拓を目指して仕事をしています。就職難が続き、さらに2010年代に入って起業家を支援するさまざまなプログラムが充実し始めたことによって、大企業に就職するよりも自ら会社を興したほうがいいと考える若者が増えたということでしょう。さらに、自分で会社を起こさなくても、その創業メンバーやそれに準じる重要社員として働く方が社会的にも経済的にも成功する可能性が高いということを、みんなが理解し始めたということだとも思います。

実際、DeNAの守安社長もYahoo!の宮坂社長も創業社長ではありません。また、僕の周りにも数億円単位の資産家になった友人・知人が多くいますが、創業社長よりも幹部社員としてIPOやM&Aを経験したことで得たキャピタルゲイン、という事例の方が多い。成功を目指すことをマーケティング的な思考で考えれば、社長よりNo.2を目指すようなやり方の方がローリスク・ミドルリターンということで、賢いかもしれませんw。

とはいえ、計算高さだけではないのがアントレプレナーシップというもの。やはりスタートアップの醍醐味は、自らのアイデアで自ら会社を興し、そして資金調達や事業開拓を自分自身の手で行うことにあるのです。読者が学生や若手社員であるならば、ぜひ”生きているうちに”この醍醐味を味わうことを検討してほしいと思います。

もう一つ、大企業に就職して数年経つと、大企業ならではの”大きな(予算の)仕事”や、社会的な安定というものが生む快適さに慣れてしまい、いまさらそのレールから外れることに恐怖心を持ってしまうことは当たり前です。地球の引力を振り切って宇宙に飛び出すための脱出速度は秒速11.2kmです。それだけのスピードがなければ地球の軌道を外れて宇宙にはいけません。同じように、よほどの勢いがなければ、例えば30代以上になっての起業は難しいものです。

しかし、起業するだけでなく、社会人生活で培った見極めの力をもって、これからの社会で成功しそうな市場を見つけたり、良さそうなスタートアップを探してそこにジョインするなど、経験を積んだからこそできるリスク軽減というものもあるのです。大人であるからこその起業メリットは必ずあるのです。

最近『宇宙兄弟』という映画(原作はコミック)がありましたが、30歳を過ぎた主人公が大手自動車メーカーを辞めてから宇宙飛行士となり、月を目指すというストーリーでした。月を目指すよりは起業する方が容易いというものです。辰年であった2012年から巳年である2013年、竜頭蛇尾となってしまうのか、地を這うように働きながらも高く鎌首を立てて胸を張って生きるのか、それはあなた次第、ということだと思います。

繰り返しますが、人生は意外に短い。今こそ、memento mori、人は皆死ぬからこそ、やるべきことをやろう、と奮い立ち、まずは今年の残り97.5%を有意義に用いる計画を立てようではありませんか。

小川浩@ogawakazuhiro