大政変の前兆か、北朝鮮の強硬姿勢 --- 岡本 裕明

アゴラ

北朝鮮の金正恩氏が国家的重大措置へ決意したと報道されています。これが何を意味するのか、憶測を呼んでいますが、三度目の核開発実験の推進ではないか、と見られています。仮にそうであればこれは極めて憂慮すべき事態になると思われます。

また、別の報道では金正恩氏が朴槿恵韓国次期大統領と面談をしたいと非公式に申し入れているが朴氏側はこれを断っているとされています。既に政権末期となっている李明博現大統領は北朝鮮に強硬な姿勢を示し、両国間の関係が悪化したとされています。政権発足当時は李大統領は北との対話をする方針でしたが、途中から強硬姿勢に転換しています。


仮に北朝鮮が核開発に進むとしたならばそれは前回の弾道ロケット打ち上げ成功に気をよくしたということでしょう。金政権において就任後一年経て目だった功績が挙げられず、国内人事でもさまざまな噂が絶えませんでした。その為、金正恩氏としては多額の資金を投入するロケット打ち上げを一年の間に二度も行うという無理を重ねました。二度目が成功だったからよかったものの、失敗すれば政権の屋台骨を揺るがす問題に発展しかねない状況でした。そういう意味では大きな賭けだったわけです。

ここでとりあえずの功績を作ったので、次のステップとして核に進む、というのは軍事的強化による国内外のコントロールをする場合にはある意味、ナチュラルな流れであります。しかし、核に対しては世界中がアレルギーを持っているわけで前回のロケット発射とは次元が違います。当然、周辺国を中心にその対応については単独から集団合議に移ってくるでしょう。韓国の朴次期大統領が面談を断ったというのは正解だと思います。

では、6カ国の対話を通じて金政権がおとなしくするかといえば、功績が欲しいわけですから金氏はかなり強硬な姿勢に出るのではないかと思います。彼の若さもあるし、実績や経験がまだまだ浅いという点からも想定外の展開すらありえるのかもしれません。

今まで北朝鮮にてこ入れしていた中国についてもその習近平氏の発言から距離感が出ている状況を踏まえれば北朝鮮の重大なる決意は非常に危険な状況になる気がしております。仮に力と力の勝負になった場合には以前、アメリカの専門家が3日で片付く、とコメントしていました。事実そうかもしれませんが、問題はそうなれば崩壊する政権に対し、誰がどうやって支えるのか、という経済、社会、政治的問題がなだれのように襲ってくるわけでその直接的影響を受けるのは韓国と中国北東部であります。

もともと北朝鮮の現体制が未来永劫続くものではない、と思っている専門家は多いはずで、それがいつどのきっかけで異変が起きるのか、というタイミングの話とみているのではないでしょうか? 北朝鮮の危険な賭けはいつまでも勝ち続けることはない、というのが私の見方であり、関係国も含めて考えればどういう結果になろうと勝者はいない戦いである気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。