アベノミクスで日本の不動産バブルが再燃か? --- 岡本 裕明

アゴラ

日経の記事が安倍首相の異名、「Asset Bubble Economy首相」を思い出させてくれましたが、次は不動産市場に本当にてこ入れする気があるのでしょうか?

私は多分そうすると思いますし、今、てこ入れすれば必ず上がると思いますからあたかもアセットバブル経済の首相様の功績であったがごとく評価されることでしょう。


まず、日本の不動産がこの数年、大底を打っている気配は都市圏の不動産公示価格を含む不動産市況において下落率が下げ止まりを見せているあたりで読み込めます。これは数年前から見られた現象で安倍首相とは関係がありません。世界の金融市場が低金利、ジャブジャブ状態にもかかわらずリーマン・ショックでアメリカの不動産はぼろぼろ、ヨーロッパもスペインなど南欧を中心にバブル崩壊の余波で苦しくなっていました。更には中国も不動産市況はどうなるのか、と心配され、世界レベルで不動産は日の目を見ることがありませんでした。

ところが日本だけはだらだらと下げ続けた不動産市況で価格は実にお手ごろ、それに対してリターンが高いという世界でも類を見ない状況にありました。世界の資金運用者はリスクヘッジのため、さまざまな分野に投資をすることから不動産への一定の投資額は常に存在します。それが政権交代と株価上昇で日本が再び注目されることになり、あわせて不動産市場への注目も当然高まっていたところであります。

また、日銀がREITなど不動産関連の投資信託を買い支えていたこともこのところの堅調な不動産市況のバックグラウンドであるかと思います。更には以前もお伝えしたとおり、公示価格のポイントを需給に基づいて一部見直すことになりましたが、これは需給が高い、つまり、人気があり高い価格が出やすい公示ポイントに入れ替わる可能性があり、統計のマジックで前年比の上昇が人為的に起きる可能性はあります。

仮に公示価格が上昇などすればメディアは煽りますからそこから一気に不動産ブームが押し寄せる構図が見えてくるわけです。では誰が買うか、ということですが、私は外資がSPCあたりを介して投資目的で取得するケースが増えてくると見ています。理由は前述のとおり、賃貸などによる利回りが高い上に不動産価格が大底圏にあるためキャピタルゲインも取得しやすいからであります。

更に相続税の増税に伴い、一部の不動産は動くことが想定されます。つまり、大地主によって所有されていた不動産は代替わりが起きる際に相続税対策で相当売却されることになります。結果としてその買い手は日本のデベであったりして不動産のダイリュージョンがおきるのです。これは基本的によいことだと思っています。

日本の一部の不動産は頑固親父が死ぬまで手放さないケースがあるのですが、不動産をメンテナンスもせず、改築もせず、放置した状態であるケースが見受けられます。これがなくなると考えれば東京はミニ再開発ブームが起きてもおかしくないと思います。

相続税増税は個人的には反対ですが、都市開発の点からすると活性化に繋がりますのでプラスになると考えています。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年2月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。