日経ウーマンオンラインで働く女子のお金とキャリアの相談コーナーを担当しています。既に20名以上の方にお会いして、毎回リアルな相談にガチンコで回答しています。
昨日、相談にいらした方は、外貨投資をしようと思っているが、少し円安になってしまって、タイミングを逃したので、なかなか外貨投資に踏み切れないという悩みを持っていました。1ドルが70円台の時にやろうと思ったのに、気が付いたら1ドル90円台になっていたという訳です。ユーロも1ユーロが100円から120円台になってしまい、どうしたらいいのか頭を悩ませていました。
現時点の資産は円で100%。日本の会社からもらっている給料も円100%です。
そこで、こんなことを考えてみました。
もし、今持っている資産が全部ドル、そして毎月の給料もドル建てで支払われるとしたら、どうするでしょうか?
例えば、
(現状)預金 900万円 給料 45万円/月
が
(仮定)預金 10万ドル 給料 5000ドル/月
になったと考えてみるのです。現状は、外貨投資をまったくしていなかったのですから、もし自分の資産も給料もすべてドルになったとしても、全部円に交換するのが、一貫した合理的行動です。
でも、もし円で持っていたら円にするけど、ドルで持っていたらドルで保有するというのなら、初期設定によって行動を変えることになりますから、合理的とは言えません。
恐らく、多くの人の理想の通貨保有は、現状と仮定の間にあるばずです。つまり円100%でもなく、ドル100%でもない。でも、現実は円100%になっているのです。
日本人の個人金融資産1500兆円のうち97%が円資産になっているのは、
- 今まで円高がたまたま続いていて
- 受け取るお金が円だったから
という状況があったからです。では、この状況が変わったらどうするのでしょうか?
円の預金だけを保有していることは、元本保証で安全のように見えますが、別の見方をすると円に資産が集中している状況であるとも言えます。円安とインフレによって実質的な価値が下落するリスクを取っているのです。
絶対安全だと思っていたものが、突然崩れてしまう、ある日今までの価値観が大きく転換する。21世紀に入ってから、日本だけではなくグローバルに、そんな「想定外」の変動が何回も起こっています。
納得した上で、今のままで良いと思っているのなら問題はありません。しかし、今までやってきたからというような曖昧な気持ちで何となく放置しておくのは、将来悔いを残す可能性があります。
「あの時やっておけば……」と思わないために。
お金だけではありません。仕事、人間関係、家族、健康……今のままで良いのかを自分自身に問いなおしてみましょう。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年3月26日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。