アベノミクスに絡み日本の国債暴落論が悪魔のささやきのようについて回ります。基本的には財政悪化や破綻をベースとした考え方で税収減と支出増、特に国債の利払いが増えることがその根拠かと思います。
これを防ぐには我々がダイエットを考えるのと逆の発想を想定すればよいのでしょうか? つまり、入りを増やし、使うのを減らすわけです。アベノミクスはこの点において使うのは増える一方で入りのほうの対策も十分ではない気がします。現状その方法は消費税と相続税にその期待がかかるのでしょうか? が、やはり、日本企業がもっと収益性を高め、税金を払えるような体質にすることがもっと健全な姿であるはずです。ならば、企業はなぜ儲けて税金を納めることが出来ないのか、といえばデフレの現状下、製品の仕入れ価格の上昇があっても販売価格に転嫁できないという問題であることは周知であります。
ではどうして企業間で価格競争を行うのかといえばそれはライバル企業が似たような商品を作ることで消費者にとって価格が最も優先される判断基準となるからではないでしょうか? 例えばウィンドウズ8が発売されたとき、日本では200種類以上の新ウィンドウズ搭載モデルが発売になったとされています。なぜ、200種類もなのか、これが日本の儲からない理由のような気がします。
コンビニでは売れない商品は売り場からどんどん落とされていきます。結果として開発費をかけ、販促費をかけたスナック菓子やコンビニ向け商品は日の目を浴びることなく廃棄処分されるものが過半数だといわれています。ではそれら「失敗作」のコストは誰が払っているのでしょうか? 結局、企業の利益率の圧迫ということに他なりません。
日本でも増えてきたコスコ(Costco、コストコ)の販売戦略に気がついた方はいらっしゃるでしょうか? 基本的に販売品種は一種一商品ないし極めて少数に絞り込んでいます。コスコが消費者にとって最も満足度を得られると思われる商品を置いています。それは必ずしも業界最安値商品ではないことも多いのですが、品質に一定の安定感、安心感があるため、それを購入しても失敗したという後悔の念に駆られることが少ないのだろうと思います。
ならば、小売店は顧客が欲しいとする商品を絞り込むことで汎用品の価格を大量生産でコストを下げるとともに個人の嗜好による付加価値のついたものには一定の利益を上乗せする販売手法はありなのかもしれません。「どうしてもこれが欲しい」という客はプレミアムを払ってでもその商品をゲットするでしょう。企業がこのプレミアムの価値で競合し価格で競合しなくなればデフレは止まるのかも知れません。
もうひとつはグローバリゼーションが進み、TPPにも参加するとなれば日本はアジア、ないし、世界のリーダーとして常に新たなるイノベーションを生み、そこから利益を得る体質を作るべきかと思います。日本は特許申請数でもアメリカについで世界二位にもかかわらず、なぜ、アメリカ企業のように先駆者利益が確保できないのか不思議に思っています。それは商品開発そのものに満足してしまい、それをビジネスモデルに転換して儲けるというサイクルに乗せられていないのかもしれません。
そうであるならば企業として儲ける手法、それも内需よりも世界の市場から稼ぐことにシフトすることが今後の日本に求められると思います。それがひいては入りを増やし、日本の財政問題を解決する本当の策であると思います。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年3月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。