武雄市図書館を攻撃する朝日新聞

山田 肇

朝日新聞が武雄市図書館を攻撃している。

4月16日の記事は『ツタヤの公共図書館盛況 ポイントつけて大丈夫?』。記事は、「来館者が半月で5万人を突破」「県外からの車が4割を占める時間帯も」と人気が集まっているとしたうえで、「利用者の95%はTカードを選択」と紹介している。これらの事実の前では、「ポイントつけて大丈夫?」はミスリーディングな見出しとしか思えないが、記事の主要点は「ツタヤを前面に出した運営には著作権法違反の疑いがある」「ツタヤが途中で撤退する恐れがある」といった批判である。


著作権法違反は、3月4日に日本書籍出版協会が武雄市に提出した質問状に書かれている。協会は、ポイント付与は著作権法第38条第4項に定められた非営利無償の貸与の範囲を逸脱するのではないか、としている。

著作権法には「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。」とある。素直に読めば、「図書館」というからには「貸本業」は営むなという規定だ。武雄市図書館の場合、貸出料金とは逆向きに、図書館側からのポイントの付与だから、協会の指摘も逆向き(筋違い)である。

採算の問題で撤退する恐れは確かにある。武雄市図書館のカフェを併設する・書籍雑誌を販売する・DVDレンタルコーナーを設けるといった試みは、採算を確保するための努力である。自治体との契約で付随事業は認められているし、それで採算が合えば撤退は回避される。それと同時に、利用者の利便性向上、自治体の管理運営経費削減といった指定管理者制度本来の目的が達成される。

「県外からの車が4割」は朗報である。特産品を販売したり、地産地消のレストランを開設すれば、経済効果が生まれる可能性がある。図書館以外にも楽しみがあるとなればリピータが来るようになるかもしれない。図書館を起点として、武雄市が一層繁栄するように、ぼくは応援したい。

山田肇 -東洋大学経済学部