円安に怯える前に、日本人にはやるべきことがある --- 内藤 忍

アゴラ

円安が進み、海外不動産の円ベースの価格も上昇しています。

海外不動産投資は掛け算で考えること、といつも申し上げています。つまり

円ベースのリターン = 現地通貨のリターン × 為替のリターン

と分解して取引を組み立てるのです。


例えば、アメリカの不動産を買う場合、現地の不動産の価格が10万ドルから9万ドルに下がったとしても、為替が1ドル=100円から110円になれば、円ベースのリターンは、1%しか下がりません。つまり現地の価格も重要ですが、為替のインパクトも極めて大きいということです。

海外不動産投資には、不動産独自のリスクもありますし、投資国それぞれの個別の事情もあります。簡単な投資とは言えませんし取引は慎重に行う必要があります。しかし、物件が見つからなかったとしても、今からできることがあります。

それは、物件の購入と独立して、為替の手当をタイミングを見て行うことです。

例えば、将来マレーシアに100万マレーシアリンギット(3300万円)くらいの物件を購入したいと思っているなら、必要な金額を円からマレーシアリンギットに交換して、外貨で保有しておく。そして物件が見つかったら、細かい差額を調整する。

為替のオペレーションを事前にやっておけば、為替変動による購入価格変動のリスクを回避できます。円高になると予測するのであれば慌てる必要はありませんが、円安になるリスクを考えて不安になりながら物件を探しているのであれば、為替を先に押さえておけば安心です。

物件を買う時になって慌てて、その時の為替レートで外貨を調達するのは、タイミングによっては最悪の事態になる可能性があります。また、もし今後円安が一段と進めば、物件価格が為替の影響で上昇してしまい手が届かなくなる可能性もあります。

為替の予想は難しいものですが、円高と円安のどちらが自分にとって困る事態なのかを考えれば、今やるべきことが見えてきます。

為替が押さえられたら、次は物件探しです。こちらは、信頼できる現地の会社を使って、納得のいく物件を見つけていきましょう。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年5月12日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。