漫画家で現在『SAPIO』にて『新ゴーマニズム宣言』を連載中の小林よしのり氏と、そのスタッフや協力者が管理する『ゴー宣道場』を連日ウォッチしてるが、ほぼ毎日スタッフ(小林氏のアシスタントの時浦氏や秘書の方)のブログに小林氏がネット用語的には「降臨」するのだが、その内容が『ゴー宣道場』の「身を修め、現場で戦う覚悟を作る公論の場。」とはかけ離れた内容で、ネットならずとも、かつての熱心な読者からも失笑を連日買いまくってる。
小林氏が「降臨」して書くことといえば、「AKB48の誰それが可愛い」とかの「AKB」関連の単なるミーハーファン丸出しの文章が、ほぼ8割で、残りの2割が安倍晋三総理や彼自身と意見の異なる、「保守言論人」への罵倒でしかないのが実情だ。
トップページの記事タイトルだけ引用しても、「AKB48さよならクロールはもう歌えるな」(2013/04/30)、「AKB48大島優子のなんて優しい言葉!」(2013/04/29)、「AKB48・みおりんとはるっぴの人生が変わったぞ!」(2013/04/29)、「AKB48 何度裏切られても少女たちを信じる」(2013/04/28)、「AKB48 武道館公演は残念だった!」(2013/04/28)、「HKT48 武道館公演は可愛さの超特急だった!」(2013/04/27)、とまぁ最新10件中7件がAKB48や、その派生ユニット関連のミーハー記事で、思想的な記事は「転がる石のように」(2013/04/30)たった一件だけで、内容は「靖国参拝も、憲法改正も、主権回復記念日も、そして天皇陛下までも、新自由主義路線に利用される事態となった。」はまだいいとして、冒頭の「かつて日本が支那事変から日米戦争に突入していったときも同じ様相だったに違いない」とメディアの安倍政権追随を嘆くが、まるで左翼の「軍靴の足音が聞こえる」のような幻聴レベルな状態なのを、果たして小林氏は自覚してるのだろうか?
その上で、産経新聞が定めた「皇位は男系継承である」とした改憲案を、「空恐ろしいナショナリズムである。」と断じているが、たかが一新聞社の改憲案で大騒ぎする現在の小林氏の姿を、かつて論戦した左巻き言論人の皆様は、どうご覧になるか非常に興味深い。
そして、このたった一つの思想的記事にもしっかりと上海に拠点を置くAKB派生ユニットSNH48のあるメンバーの心配もしてる辺り、昔からミーハーだった小林氏の「AKB病」は相当重症のようだ。
挙句、安倍総理については「メディア戦略を周到に、着々と推し進めている。」とまるで悪行のように書き殴るが、国のトップが様々なメディアを制作を広く伝えるために利用するのは、どの国家でも当たり前ではないか?
「テレビも朝から出演して、テリー伊藤も、ビートたけしも取り込まれた。」 と嘆くが、総理が米FOXチャンネル制作のテレビドラマ『ウォーキング・デッド』の大ファンと知って、同番組のファンでゾンビ映画大好き人間としてはますます親近感が湧いたくらいだ(笑)。
しかも、しれっと「朝日新聞も凋落された。」と批判するが、以前井沢元彦氏と共著で『朝日新聞の正義~対論 戦後日本を惑わせたメディアの責任』なんて書いて朝日新聞を批判したのに、第二次安倍政権誕生直後に恥ずかしげもなく、その朝日新聞でイラスト付きで安倍総理批判したのをもうお忘れですかぁ?
小林氏によると、「ネットも取り込まれた。」「反体制としての若者文化の衰退も情けないが、文化人の質も落ちた。」と、相変わらず自分の思い通りにならない時は、「わしは絶対悪くない!」の姿勢ですが、大昔『ゴー宣』で「わしを疑え!」って仰ったのは誰でしたっけ?
「ファシズムが完成しつつある状況」だそうですが、普通に生きてる分には、そんなものは微塵も感じません。
むしろ、「CDを握手券目当てに大量買いして、CDは捨てちゃう。」AKB商法や、過去三年間の民主政権とそれを誕生させてしまったマスメディアが異常だっただけで、日本という国は左に傾きっぱなしだったのを少しづつ真ん中に戻しつつあるのが現状なのです。
かつての小林氏の名著の一つで、薬害エイズ訴訟運動を内側から描いた傑作、『新ゴーマニズム宣言スペシャル脱正義論』にて、小林氏は運動に参加した若者が、極左活動家といった集団にオルグされる現状を憂い、「運動は訴訟でひとつの成果を出したから、あとはプロに任せて君たち若者は日常に帰るんだ」と著書で諭した。
私は、中学・高校時代を家庭の事情で、ある児童養護施設で過ごしていたが、当時数少ない「毎月買っていい漫画雑誌」がコロコロコミックで、丁度小林氏のヒット作でアニメ化もされ、DVD-BOX化もした『おぼっちゃまくん』直撃世代でもあるし、彼の『東大一直線』も読んだこともあった。
当時既に高校生の私にとっては、残念ながら『おぼっちゃまくん』は低俗な子供向け漫画でしかなかった。だが、社会に出てから読んだ、『最終フェイス』は「真の美とは何か?」というテーマを興味深く読んだこともある。比較的近作である、自身の白内障手術を描いたレポート漫画の『小林よしのり目の玉日記』や意欲作といえる『遅咲きじじい』のAmazonでのレビューは決して悪くない。
小林氏も今年で60歳。還暦を迎えるお年だ。
昔の『ゴー宣』で演歌歌手を天女のように入れ込んだ時は微笑ましかったが、還暦を迎える初老の妻帯者の男性が、孫ほど歳の離れた娘っ子に入れ込む姿は見るに耐えない。正に、『おぼっちゃまくん』のキャラのセリフを借りれば、「落ちぶれてスマン!」状態だ。
小林よしのり氏はもう十分戦った。
薬害エイズ訴訟で、オウム真理教事件で、新しい教科書を作る会で、他にも数知れない戦いを繰り広げてきた。小林よしのり先生。今度は、貴方自身が論壇から身を引いて、本来のギャグ漫画家という日常に帰る番ではないだろうか?
そして、貴方とそのスタッフが最も嫌悪するネトウヨ(ネット右翼)の土壌を作ったのは、貴方方自身なんだ!
貴方とその周辺が嫌悪する「ネトウヨ」だが、その卵を産み落としたのは、間違いなく、小林よしのり氏と『ゴーマニズム宣言』(や、その関連著書)の影響が大きいと私は考える。
『戦争論』しかり、従軍慰安婦問題しかり、戦後自虐史観教育や、「作る会」での活動しかり、貴方の著書によって、目から鱗が落ち、目が覚めた若者は決して少なくないだろう。
何故、今の貴方が自分が産み落としたに等しい、「ネトウヨ」をそこまで嫌悪するかは理解できない。
だが、貴方の責任として、その「ネトウヨ」と正面から向き合うことが必要なのではないだろうか。貴方のアシスタントの時浦氏のように、小学生レベルの罵倒をTwitterで繰り返したり、貴方のように「安倍シンパ=ネトウヨ=レイシスト」などといった左翼まがいの低レベルなレッテル貼りをする前に、やるべきことがあるはずだ。
孫ほど歳の離れた少女に鼻の下を伸ばして現実逃避する前に現実と戦え!
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