「銃弾が飛び交う中で、精神的にも高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる」……橋下はん、エライこと言うてしもたもんや。
「先生、P子ちゃんがウンコを垂れた」「だれでもお腹の調子が悪いことはあるから、そんなことを言うもんとちゃう」「そやな、僕、悪かった。ごめんやで」
これで、万事メデタシかという、そうとは限らん。本当に「P子がウンコを垂れた」のかどうかハッキリせんからや。実際には、こういうことはボカしたほうが、良い場合が多いが、この線で解決する場合も、真実を隠蔽したという意識が、B先生には必要やと思う。
「ある発言の内容の真実性」と「その発言をすることの正当性」は必ずしも一致せえへんもんや。多くの場合、真実を語ることは正当や。普通はそれでええ。次に多いのが、真実であっても、わざわざそれを語ることが害をもたらす場合や。上のウンコの例もそうやろう。ただ、ここでコワイのは、正当性を批判するあまり、真実性がウヤムヤになってしまうことや。もしかしたら、P子はウンコ垂れとは違うかも知れんわけや。
今回の、橋下大阪市長の発言は、性風俗産業の擁護、従軍慰安婦制度の正当化、あたりの問題で、フェミニズム方面を中心に袋だたきにされておるが、あえて不穏当な発言をすることの評価とは別に、その内容はほんまに「誰が考えても分かる」話なんやろうか。「激戦中の軍人には性的な慰安が必要」というのは自明のことなんやろか。
まず、確実なのは、同じように大陸で戦った日清・日露戦争当時の日本軍のように、そうした事例が皆無な戦闘もあり得る。現代で言えば、タリバンの義勇兵なんかも、その口やろ。危険で血なまぐさい任務にあっても、性的に暴走しようとはせん場合も多い。
これは当たり前の話で、「性的サービスが無かったら全ての戦闘部隊は機能しない」なんて言うのは、世界中の軍人に対する侮辱やろう。性的なサービスを前提にせんと機能している軍隊は、古今東西いくらでもある。そやから最初の橋下発言には、正当性とは別に真実性にも、でかい疑問符がつくわけや。
旧日本軍に話をもどしても、「慰安婦」の必要性を強調することは、靖国関係の人を丸ごと貶めることになりかねんのとちゃうかな。「ある女性の不快を代償に自分の性欲を満たす」というのは、どんな場合でも、男として胸を張って言える話とちゃうがな。
一般的に言うて、末端の兵卒までが戦闘の大儀を共有している場合は、その部隊では暴走や逸脱はおこりにくい。逆に言えば、何のため戦うのかよう分からんまま、遠い異国に連れてこられて、生きるか死ぬかの目に遭えば、SEXやドラッグの刺激を求める兵隊が多発するのは、仕方ないということや。ベトナム戦争当時の米軍などはその典型やろ。
そやから、「もっと風俗業を活用してほしい」などと言われたら、米軍司令官は飛び上がる。日本一、支持者の多い市長から、「おたくの兵隊さん、スケベなしやと動かんのやから、やらしたりぃな」と言われたわけやからな。気の毒に。
「先生、アメリカから来たS君、スカートめくりばかりしてで」「アメリカの子はみんなスケベなんやから仕方ないがな。10円あげて(貧乏な)ハシ子ちゃんのをめくるように言うとき」とB先生が言ったら、S君のパパは黙って子供に10円玉を渡すやろか……学校に怒鳴り込んでくる可能性の方が高いと思うがのう。
ヨハネス 山城
通りがかりのサイエンティスト