ブラック企業の「定義」だけでは解けない問題の解決方法とは --- 池田 信人

アゴラ

ブラック企業問題。

長い間、継続的に話題になり続けている注目が集まるこの問題。最近では自民党が「ブラック企業」公表提言へ向けて動いているようですが、ブラックか否かの具体的な基準作りは相当難しく、作れたとしても、白と黒の間に広大なグレーゾーンが広がる事態になるのだろうというのが所感であります。


私が、そのように感じるのは、こちらのエントリに書いた、「ブラック企業か否かに関しては、個人の主観に左右される」という認識からです。企業の内部を観察してみると、事業部や職種、役職、入社タイミング等々で、それぞれ白と黒のグラデーションが発生していることが分かります。「あそこの部署はブラックである」とか「うちの会社はマネージャーにとってはホワイトな環境だけど、現場はブラックここに極まるって感じだよね」とか、そういった話です。

●ブラック企業問題の解き方

ここから見えてくるブラック企業問題の解法としては、まずは、企業単位で白と黒の線引き(ブラック企業の定義)を試みるのは無理筋であるという認識を持つこと(←ここ重要)。次に、企業を構成する要素単位(事業内容・ビジネスモデル・仕事内容・評価制度・社風など)に分解して、「こういった仕事内容はスキルアップが難しい」「この事業内容だと構造的に長時間労働になりがち」というような事例を積み上げていくこと。そうすることを通して、個人が【企業で働くことの実際】をイメージする解像度を高めていくこと。これが正しい解法であると考えます。

この解法によって、自分にとっての許容できる企業と許容できない企業。そこを分かつラインを自己判断で引くことができるようになるはず。こういった風に。

池田くん
「超長時間労働をせざるを得ない職種で、結果を出さないと離職せざるを得ないような実力主義の制度が徹底されている環境は、自分にとってはブラックだけど、新卒でも年収は400万円を超える、転職市場での価値が高い経験が積める職種ならブラックではないな。むしろホワイトだな。でも、合理的ではない精神論が蔓延するような風土だったら嫌だな。それだとブラックだ。」

就職は個別具体的なものですから、ブラック企業の判断も、上の例のように個別具体的になされるべきでだと思います。「離職率が高いところはブラックだ」「○○業界はみんな黒だよね」というような解像度の低い一般論に対して「なるほど、これは良記事」と言っている場合ではありません。

就社よりも、就職の方に意識を向けていきましょう。

池田 信人
株式会社ジョブウェブ 
個人ブログ