昨晩は、ビジネス書作家兼出版プロデューサーの方と、京橋にある西洋料理のお店に行きました。地下にある狭い店内は、お世辞にも豪華な空間とは言えません。レストランというより、ビストロの風情です。
料理に対する評価が極めて高いお店なので、かなり期待していました。コース料理も単品もかなりの強気のお値段。正直、お店の内装からは、考えられないプライシングです。すすめられるままに、一番高いコースを注文しました。
前菜のアスパラとカニコロッケは、確かに洋食としては美味しいのですが、感動という訳ではありません。続いて出てきたスープも美味しいのですが、脳天に響かないのは、お店の雰囲気のせいなのでしょうか?
しかし、このお店の看板である、ステーキが出てきて雰囲気は一変しました。2人で同じものを同じミディアムレアで頼んだので、2人分をまとめて400gの塊で焼いてくれたのです。
出てきたミディアムレアのサーロインステーキは、超厚切り。中心まできちんと火が入り、適度な脂味が絶妙の焼き具合で提供され、最高の味わい。但馬の和牛ということでしたが、しつこさは一切なく、気が付けばペロリと完食していました。
どちらかというとテキサスビーフのような赤みの肉が好きなので、和牛が最後まで食べられたのは、久しぶりな気がします。
周りを見回すと、店内は雨の火曜日なのに満席です。接待と思われるグループもいますが、半分以上は自腹で食べにきているカップルや家族のようです。
お店でも人でも評価を高める方法には、「機関車型」と「電車型」があるということです。
立地も内装も、決して優れているとは言えないお店が、客単価数万円という値段をチャージしても、自腹で食べに来る人がいる。その理由は、ステーキの圧倒的な存在感にあるのです。
このように突出したキラーコンテンツによって他を差別化するのは「機関車型」ということができます。蒸気機関車が先頭に立って客車を引っ張っていくようなイメージです。
しかし、そんな圧倒的なコンテンツを持っている人は、世の中そんなに多くありません。だとすれば目指すべきは「電車型」です。それぞれの車両が少しずつモーターを動かして電車を動かしていくのと同じやり方です。
1つ1つのコンテンツが突出していなくても、平均以上のものを掛け合わせていけば、大きなパワーにすることができる。1両では勝てない「電車」も連結して走れば「機関車」に勝つことができる。これなら誰でも、努力すれば実現できます。
もし、このステーキのお店に勝ちたいと思ったら、ステーキ以外の部分で勝負すべきです。圧倒的なキラーコンテンツを持っていなくても、コツコツと付加価値を積み上げていけば、大きな力にすることができるのです。
最高のサーロインステーキを食べながら、こんなケーススタディを考えていました。
「もし自分がこのお店の隣でハンバーグのお店を出店するとしたら、どうやって経営するか?」
楽しく美味しい会食でしたが、とても勉強にもなりました。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月12日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。