「節約の呪縛」で、今も未来も不幸にするのはやめよう --- 内藤 忍

アゴラ

迷ったら、二つとも買え!』という本を読みました。「週刊プレイボーイ」の名物編集長だった著者が、自分のお金の使い方について、書いた何ともユニークな本です。

2ケタ万円以上の貯金を持ったことは無く、稼いだお金は使ってしまうという計画性の無い人生は、私にはとても真似のできることではありませんし、決して人にも勧めることはありません。


全体のトーンは、年寄りの自慢話にしか聞こえないようにも思えます。バブル時代のサラリーマンだからこその話も色々と出てきます。

しかし、読んでいるとどうにも憎めないキャラクターを持った人のように見えます。だからこそ、開高健、今東光といった大物との交友を深めることができたのではないかと勝手に想像してしまうのです。

この本から学んだことは、お金は使ってこそ価値があるということです。老後の資金も当然必要ですが、お金を貯めるということは、今使うお金を未来に送っていくということです。お金の時間の移動が投資であり、貯金であるのです。

しかし、送ったお金が未来で役に立たなければ、その作業は無駄になってしまいます。必要のないお金を無理に送る必要は無いということ。そうならないためには、自分の未来に必要なお金はいくらなのかを、まず懸命に考えてみることです。

個人投資家の方が参加するセミナーでお話をする時に、資産をどうやって殖やすかの前に、自分にいくら必要なのかを知ることが大切だと毎回強調しています。

自分が必要なお金だけを未来に送れば、後は使ってしまってよいのです。無駄使いをする必要はありませんが、多くの人が今我慢すれば将来良くなるという漠然とした希望で節約しているのを見ると、それは間違っている!と言いたくなってしまうのです。

未来に必要なお金は正確に知ることはできません。しかし、それが3000万円なのか5000万円なのか、それとも1億円なのかといった大まかなイメージをつかむだけでも、お金との付き合い方は変わってきます。

島地さんは、未来にお金を送らなすぎですが(笑)、過剰な節約によって今を不幸にしてしまって、結局そのお金も使わないまま将来も不幸になる人たたくさんいるのが日本の現実です。死ぬときが一番お金持ちという人生です。そうならないためには、過剰な「節約の呪縛」から自分を解き放つことがとても重要です。

伊勢丹新宿店には「サロン・ド・シマジ」なるお店があって、週末の午後には島地さんご自身がいらっしゃるそうです。一度、行ってみたいと思いました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月24日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。