ビジネスの利益とは、社会に存在価値が認知された証 --- 内藤 忍

アゴラ

少し前に、このブログで、南場智子さんの「不格好経営」を紹介しましたが、その後も何回か読み返して、その度毎に、新たな発見をしています。起業家あるいは起業を目指す人であれば、必ず読んでおくべき!と断言できるくらいに内容が詰まっている「価値>価格」の作品だと思います。


この本の中で南場さんは、起業してから社長退任までの12年間で嬉しくて泣けたのは一度だけだと書いています。

それは2003年3月期にDeNAが黒字化を達成した時。

「利益は世の中にどれだけの価値を生み出したかの通信簿であり、赤字は資源を食い潰している状態」

ビジネスによって利益を上げること。これは会社経営に限らず、ビジネスをする人すべてが心がけなければいけないことだと思います。

忙しく日々仕事をしているのに利益が出ないのは、顧客から感謝されていないということを意味します。採算度外視でビジネスを進めたり、競争が激しくなると価格競争に安易に参戦していく人がいますが、価格競争によって利益が出ないのなら、存在価値は無いと言ってよいでしょう。なぜなら他にも同じ価値を提供できる人が存在するということを示しているからです。

ビジネスの競争力の源泉は、価格とクオリティの2つです。同じものをより安い価格で提供するか、クオリティで他を圧倒するような商品・サービスを提供するかの2択になります。

価格競争を始めるということは、クオリティ競争に勝てないということの裏返しです。クオリティに自信がないから、価格競争に逃げているとも言えるのです。

5000円のものが売れないから、赤字になっても3000円に値下げするという考え方ではなく、5000円で売れるようにするものを作れないのはナゼかを考える。提供するものにどうやったら価値をつけることができるかを思考するのが正しい考え方です。

では、利益を出せるようになるためには具体的にはどうすれば良いのでしょうか?価値を感じてもらう、唯一の方法は「オンリーワン」になることです。

狭い分野、ニッチなエリアでも良いから、とにかく誰にも負けない一番のポジションを確立する。
それが、他の商品・サービスとの差別化になり、顧客に価値として認められるのです。

利益の出せない人は、自分の「オンリーワン」は何かを考え、それをどうやったら価値につなげることができるかを追求する。それを継続するしか道はないと思います。

ビジネスで利益を出すということは、自分が儲かるということだけを意味しません。それは、社会に価値を提供して、それに対して感謝の気持ちが返ってきている。つまり、そのビジネスに存在価値があることを社会が認知したことを示しているのです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年6月28日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。