テキサス州の女性上院議員、中絶制限の州法案を葬る --- 安田 佐和子

アゴラ

テキサス州のウェンディ・デービス上院議員は、アメリカの歴史に名を残す女性となりそうです。

2012年大統領選に共和党候補として出馬したリック・ペリー知事の肝煎りで、「中絶法案(Abortion Bill)」が提出されまっした。下院で24日に通過したため上院に渡され、26日の午前0時までに採決が行われる予定だったんです。


これを11時間以上にわたるフィリバスター(議事進行妨害)で阻止した人物こそ、ウェンディ・デービス議員(50歳)。フィリバスターの規則どおり椅子に座ることなく、机にもたれたりせず、トイレ休憩もせず、ただひたすら投票への時間切れを目指し法案への反対見解を並べ続けたんです。26日の午前11時18時から開始して午後10時まで粘った結果、採決を締め切りである午前12時から2~3分遅らせ、午前3時過ぎに19対10で通過した法案を無効とさせることに成功しました。

WENDY-200x300
デービス議員、よくぞやってくれました!

「中絶法案(Senate Bill 5)」とは、妊娠20周期以降の中絶を禁止し、産婦人科クリニックに大病院並みの施設を求めるなど中絶手術への規制を強化する内容です。通過すれば、2600万人の人口を抱えるテキサス州内の42ヵ所の診療所のうち37ヵ所が閉鎖に追い込まれることになっていました。

デービス議員は、銀の匙をくわえて政界入りした女性ではありません。19歳で結婚と離婚を経験したシングル・マザーなんです。母親自身もシングル・マザーで、14歳の頃には母親と3人の弟妹と支えるためにアルバイトを始めた苦労人でもあります。並大抵ではない努力と犠牲を払い、ハーバード大学ロースクールを33歳で卒業。弁護士のキャリアを経て、2009年にテキサス州上院議員に選出されました。

それまでは元テキサス州オースティン市長であるウィル・ウィン氏の恋人といった程度の評判だったといいますが、フィリバスターを通じフォロワーは1日で1200人から4万6000人へ急増。27日には全米で最も注目される女性として、輝いております。

wendy1-300x127
トラブル続きのオバマ米大統領も、朗報にニンマリしたはず。

残念ながら7月1日にも特別議会であらためて採決に持ち込む余地を残すようですが、デービス議員の快挙でテキサス州の保守派ぶりが露呈したことは間違いなし。現在ペリー知事率いるテキサス州は、CNBCなど大手TVネットワークでテキサス州へいらっしゃい転居キャンペーンを展開中です。こんなニュースを聞いたら、少なくとも保守派でない女性なら引っ越す気を失くすでしょうね。

ところで。

個人的な注目は、デービス議員の足元です。ご覧下さい!

wendydavissneakers-300x225

ミズノのスニーカー「Mizuno Wave Rider 16」、私も愛用してます。

高性能ランニング・シューズを着用していたからこそデービス議員、11時間以上とマラソン並みのフィリバスターに耐え切ったといっても過言ではないかと。ミズノさん、スポンサー契約を結ぶチャンスですよ!


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年6月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。