育児休暇を「育児義務期間」に言葉を換えて日本を変えよう --- 竹内 裕人

アゴラ

ツイッターで見かけた「育児休暇を『育児義務期間』に変えよう」という考え。これは、「育児休暇」とするから日本人が毛嫌いする。休暇を取るのか、と思うことで嫌気が差すというもの。だから、育児休暇ではなく、育児義務期間とする、という。

育児真っ最中の私は大賛成です。

核家族化を余儀なくされる転勤族の場合、家族の手を借りることも困難です。夫婦二人でフラフラになりながら子供を育てるにも限界があります。


最近ニュースでよく見かける、子供を殺してしまう親たち。気持ちがよく分かります。夜は寝ない。寝ないだけならまだしも、泣いて両親二人とも起こす。共働きなら、二人とも仕事場でフラフラ。効率が悪いままで仕事ははかどらないが、残業もできないので気まずいまま帰宅する。帰宅してから夕食が終われば風呂。ヘトヘトのまま寝てしまいたいが、二人で子供の保育園の準備に朝ご飯の準備。0時前に寝られて何とかしたと思いきや、朝4時に泣いている子供に起こされる。

育児分担をするためにも、育児義務期間を設けて夫、妻、両方が半年ずつがんばるなど、なんとか対策を立ててほしいところです。ここでは共働きの我が家の状況を書きましたが、専業主婦も大変です。保育園に通わせることなく、常時泣いている子供の相手です。教育もしなければならず、一人対一人では気が滅入ります育児義務があれば、たとえば夫が家にいる期間が3年のうち半年×3回あれば、妻も何とかがんばろうと思えるのではないでしょうか。

同じ仕事言葉では「有給休暇」もきちんと区分けしたほうがいいでしょう。

私が勤務する会社では、疾病による有給休暇が5日保証されています。病気で休む場合は5日までは会社の都合を無理強いされることがない、というものです。もちろん、雇われている側が病気でもないのに利用するようなインチキはダメですよ。

一括で有給休暇とされると、我々雇われ側は本当に迷惑なんです。「一人で休みやがって」と、私の上司たちは常に文句を言っています。一番ショックだったのは、「有給休暇は、万が一の大きな病気のためにある。1年に20日ずつあり2年分が保留される。しかし、20日使い切ったところで30日休んだ場合、会社にどれだけ迷惑をかけると思っているんだ。できる限り使うんじゃない」というものです。

この発言どうこうじゃなく、こういう発言をすること自体、会社が上司に教育をしていないことを痛感します。こういった上司から教育をされる我々が勉強しなければ、さらに後輩たちに同じような間違った教育が行われ、同じような言葉が引き継がれる……と、悪い循環に陥るでしょう。

関係ない話にまでなってしまいましたが、有給をきちんと区分けしたいですね。たとえば以下のようなものです。

  • 疾病による有給休暇:病気、けがによるもので、年間20日の有給休暇うち7日まで。会社は出社を強要できない。
  • 私用による有給義務休暇:私用によるもので、年間20日の有給休暇のうち7日まで。取得は義務。会社は出社を強要できない。
  • 私用による有給休暇:私用によるもので、年間20日の有給休暇のうち、6日まで。取得は任意。会社は出社を強要できる。

しっかりと明記することで、休暇が強制的に取られるようになります。本来であれば会社の出社強要は対等に半数とすべきかとも思いますが、おそらく休暇の偽装が行われるでしょう。パソコンを持ち帰ればどこでも仕事ができるご時世。いっそのことパソコンも休暇中に持ち出しを法律で禁止し、会社の営業停止くらいまでやればいいと思います。

また「残業」や「サービス残業」という呼び方もやめましょう。

「残業」は、残って仕事をすることです。何の感情もわかないですし、管理側もいい加減になるでしょう。会社側が仕事をきちんと管理する意味を込めて、「仕事が遅れている人の時間外仕事」としてはいかがでしょうか。長すぎますが、こうでもしないとサービス残業もなくならないでしょう。

「サービス残業」も「違法な時間外労働」、さらには「違法な奴隷労働」と呼びましょう。対価の払われない労働の強制が行われているわけですから、「あの会社が違法行為をしている!」とみんなが思うためにはこれくらいしないといけません。今の日本の情けないところですが……。

言葉を換えて考え方を変えさせようというものでは、「お客様は神様です」を「お客様も演者も、お互い神様です」というのもいいかもしれません。

はやりそうにない言い回しですが、それに匹敵するものがあるべきだと思います。お客様を名乗るクレーマーの台頭により、お店側はとっても迷惑しています。勘違いクレーマーをなくすためにも、この言葉は本来の意味に戻すか、使われなくなるようにするか、別の言葉でお客様だけが神様ではないことを日本の常識にしなければならないでしょう。

竹内 裕人