『風立ちぬ』に宮崎駿の葛藤はあるか

アゴラ編集部

スタジオジブリの新作アニメ『風立ちぬ』が公開されました。出足は好調らしくネット上にも感想めいたものが散見されるようになっています。「夾竹桃日記」というブログでは、堀辰雄の『風立ちぬ』と零戦(九試単戦や九六式艦戦も)の設計者、堀越二郎の人生を重ね合わすという「破天荒」なアイディアは宮崎駿監督ならではの発想、と書いている。マンガや小説などの原作に依存し過ぎる作品が多い日本映画界にとって、こうしたオリジナルを作りあげることのできる才能は財産、というわけ。今回の作品は『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』のようなフィクションでないため、絵コンテなども破綻なく描ききっている、と分析しています。


一方、宮崎監督やジブリの「思想」についてもネット上で話題になっています。昨日の参院選の結果を受け、公明党の態度いかんで憲法を変えるための国民投票が実現します。自民党は憲法を変えることを公約にし、それは安倍首相の「悲願」と言われている。こうした流れに宮崎監督らは警鐘を鳴らし、批判しています。ネット上にはそんな彼らの主張に対して抵抗感が強い。「とろとろですとろん」というブログは「ジブリの思想は『憲法9条原理主義』」とまで言い切っています。憲法9条を「聖域化」する非現実な平和主義では自国を守れない、というわけ。零戦という「武器」の開発者を描くことと平和主義という宮崎監督の整合性については、あちこちから意見が出ています。

こないだテレビのニュース番組で本人の話を聞いていたんだが、インタビュアーの大越キャスターのブログによれば、宮崎監督自身は「我々は武器の開発者を断罪できるのか疑問」という態度のようです。番組では、この質問に対して宮崎監督はいらだっていたように見えた。酸いも甘いもかみ分けられない「大人」の葛藤があるのは確かでしょう。

「子ども」の感性がなければアニメ作品など作れません。しかし、表題ブログも本作では「大人のアニメが復活した」と書いている。本作は宮崎監督の個人的な作品、であり、堀越二郎は宮崎氏が「なりたかった自分」なのではないか、というわけです。堀辰雄の『風立ちぬ』はポール・ヴァレリーの「風立ちぬ、いざ生きめやも」から引用したものなんだが、後半の「いざ生きめやも」というフレーズの解釈は読む個々人によっていろいろ分かれるでしょう。ここに、宮崎氏やジブリの「思想」が見え隠れしているのでは、というのはうがち過ぎでしょうか。

松浦晋也のL/D
「風立ちぬ」を観てきた


みかじめ料を巡り飲食店経営者が山口組トップの篠田建市(通称・司忍)と傘下組長を提訴。日本史上初めてとのことだが。
スロウ忍ブログ
実際に法律はあっても、適用されない、実行されない、という例はあまり多くありませんが、北朝鮮などへの制裁措置法なんかではたまに適用されたりします。こないだは「貨物検査特別措置法」というのを使って各関連物質を積んで北朝鮮を出た貨物船から貨物を応酬したらしい。このブログでは、2008年に改正された暴力団対策法により、暴力団トップの使用者責任を問う民事訴訟が名古屋地裁で初めて起こされた、と紹介。組員が実行した「みかじめ料」で暴力団の組長を訴えた、というわけで判決が注目されます。日本のヤクザ、というのは一種の「障壁」として米国の介入を防いできた一面もあるんだが、反社会的な存在であることは間違いない。今回の判決次第では、弁護士の新たな稼ぎ場になるのかもしれません。しかし、支払い能力あるのかな。

路上ライブと路上占いを無視しない
デイリーポータルZ
人と人とのコミュニケーションが希薄になっている、といわれて久しいんだが、見知らぬ人を応援したり見知らぬ人と話したり、といったことは、ちょっと大きなターミナル駅前あたりへ行けばわりと簡単にできます。このブログでは「勇気を出して」路上ライブのミュージシャンを応援したり、占い師と話してみたり、といったことを実際にやっています。路上ミュージシャンはともかく、占い師のほうは竿竹屋みたいなもんで商売は成り立つんだろうか、と心配になったりします。「占ってもらってる人、初めてみた」という通行人の感想によって、自分を客観視することができる。これこそが他者とのコミュニケーションの真髄です。

続々登場! 「うなぎの蒲焼き風」食品 ナスや豆腐を使った“再現”レシピも
はてなブックニュース
今年の土用の丑の日は、今日、7月22日(月)と8月3日(土)の二回あります。鰻の旬は秋と冬(早春)とはいえ、夏に鰻を食うのは江戸時代半ばから続く夏バテ防止の風習です。しかし、鰻は高嶺の花、ということで、これは豚肉や鶏肉などを使った「代替蒲焼き」を紹介している記事です。なんでも例のタレにつけて焼けばそれらしくなるらしい。食感的には小骨も多いしイワシかな。

引き分けの原因は指揮官の空論ではないか / 東アジア杯
サッカー・ジャーナル
選挙特番ばかりだった昨日のテレビなんだが、ひっそりとサッカーの日本代表が韓国ソウルで戦ってました。東アジア杯、対中国戦です。結果は3対3の引き分け。中国相手なら大差で勝つだろう、という予想を覆す「ほぼ敗戦」。2点差先行で追いつかれた。この記事では、ザッケローニ監督の戦術通りに選手が機能しなかった、と書いています。この試合の注目の一つは、本田圭佑選手や遠藤保仁選手の代わりになるような選手がいるかどうか。柿谷曜一朗選手と高萩洋次郎選手がなんとか期待に応えたらしい。まったく収穫がなかったわけじゃないようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦