中国の反体制派メディア「大紀元」日本語版は7月17日、「ガーナ政府が15日、4592人の中国人を金塊の違法採掘で国外追放処分を行ったと発表した」と報じた。
▲UNIDOのウイーン本部(2013年5月撮影)
同紙によると、「西アフリカのガーナ共和国は、金の埋蔵量が豊富で、南アフリカに次ぐアフリカ第2位の金産出国だ。近年、金の価格が高騰しているため、一攫千金を狙う1万人以上の中国人が押し寄せて、金採掘を行なってきた。同国の法律は25エーカー以下の小型金鉱の採掘と運営への外国人の参与を禁じている。そういったなか、中国人の違法で環境に配慮しない採掘に対して、現地の人々の怒りが高まっていた。今回の取り締りでは、金の違法採掘容疑のある外国人を本国に送還し、採掘設備を没収・廃棄するとともに、現有の小型金鉱採掘証について再審査をする運びとなった」という。
アフリカ大陸には百万人以上の中国人が働いている。同時に、中国企業のアフリカ市場進出はさまざまなドラマを引き起こしている、ガーナの場合、中国人の不法活動だが、スーダンでは中国企業と提携したスーダン実業家がミリオネアーとなって幅を利かせている。その一方、「わが国には賄賂や買収といった慣習はなかったが、中国ビジネスマンが進出してきてスーダンでも定着し、商道徳は考えられないほど荒廃してきた」と負の現象も表面化してきた。
そこで国連工業開発機関(UNIDO)のアフリカ担当のエキスパート、モハメット・エイシャ氏に中国のアフリカ進出について聞いてみた。
スーダン出身の同氏は「賄賂や買収は西側企業も過去、アフリカ諸国で行ってきたことだ。中国ビジネスマンだけではない。中国の場合、投資する額と動員する労働者の数は桁外れに多いから目立つだけだ。英国やフランス企業はアフリカ企業家に甘い約束をするが、最終的には資源を獲得するだけで道路の整備、橋やインフラ完備などは一切やらなかった。その点、中国人は病院を作り、橋をつくり、道路を整備する。彼らは少なくとも約束を実行する」と指摘、「中国企業の悪者説」を否定した。
このコラムでも紹介済みだが、エチオピアでは総額42億ドルをかけ青ナイル川に迂回ダム「グランド・ルネッサンス・ダム」が建設中だ。完成すると総発電量は6000メガワットになり、国内の電力需要を大きく上回る。そこで電力を輸出に回すという計画だ。そのダム建設の現場に中国人労働者が働いている。
数回、訪日経験のある同氏は「中国のアフリカ進出は著しいが、日本企業にもまだチャンスはある。日本企業は賄賂とか不法な経済活動をしないことで知られている。遅すぎることはない。実際、国際協力機構(ジャイカ)はアフリカで貴重な活動をしている」と述べた。
最後に、「中国は近い将来、中国人の事務局長が就任したUNIDOを通じて兆単位の対アフリカ・プロジェクトを発表するかもしれない。李勇新事務局長は中国では財務次官として巨額な予算を扱ってきた人物だ。李氏は数千万ドルのUNIDO予算を扱うためにウィーンに就任するのではないはずだ。中国は李事務局長を通じてアフリカ諸国の開発に巨額の投資を計画していても不思議ではない」と予想する。同氏によれば、中国は現在、日本、ドイツに次いでUNIDO3番目の分担金拠出国に台頭してきているという。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2013年7月25日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。