結婚の科学 恋愛と見合いどっちが幸せ?

本山 勝寛

先日、『選択の科学』という観点で選挙について考えてみたが、今回は結婚について考えてみたい。というのも、同著のなかで、恋愛結婚と取り決め婚(お見合い結婚)を比較した面白い研究結果が紹介されていたからだ。

選択の科学 [単行本]


恋愛結婚をした夫婦は結婚期間が一年以内の場合、91点満点中平均70点だったが、結婚期間が長くなるにつれてスコアは徐々に低下し、10年を超えると40点でしかなかった。これに対し、取り決め婚の夫婦は、結婚したては平均で58点と高くないが、期間が長くなるにつれて満足度が高まり、10年超の時点で68点と恋愛結婚の夫婦よりもはるかに高かった。

これは取り決め婚が90%を超えるインドにおける研究であり、そういった批判も考えられる。気になったので日本の場合も調べてみた。日本は1970年くらいから離婚率が高まっており、現在では結婚した夫婦の3組に1組が離婚している状況だ。もやは離婚は珍しいことではない。これを結婚の仕方で見てみると、恋愛結婚の離婚率は40%で、お見合い結婚の離婚率は10%とのこと(全国仲人連合会調べ)。意外にもお見合い結婚の方が離婚率が低く、上記のインドでの研究結果と一致する。

これは、お見合い結婚の場合、結婚がゴールではなくスタートと考え、時間をかけて愛を育む傾向にあり、結婚前と結婚後の理想と現実のギャップも少ないからと言われている。また、相手の条件を冷静に判断したり、親や第三者の意見を聞く機会があることも理由に挙げられる。

今でこそお見合い結婚は約5%とマイナーな結婚形態だが、1940年代は日本でも70%近くがお見合い結婚だったという。ひょっとすると、お見合い結婚の割合の減少と離婚率の増加は無関係ではないのかもしれない。また、少子化の最大の要因と考えられている近年の晩婚化・未婚化も、お見合い結婚が少なくなったからという指摘もある。たしかに、結婚を親や周囲が後押しする仕組みがなくなり、完全に個人の力量と選択に任せられるようになってきたわけだから、かつてより相手を見つけるのが難しくなったことはうなずける。

「選択の科学」でも、多過ぎる選択肢は限られた選択肢から選ぶよりも満足度が低いという研究結果があるが、無数に存在する異性から生涯のパートナーを選ぶより、親や第三者から紹介される少数の相手から選択する方が満足度が高い結果になるのかもしれない。

現代人は恋愛して結婚するのが当たり前で、お見合いはダサいという固定観念に凝り固まっているが、結婚なんて人それぞれだ。お見合い結婚も捨てたもんじゃないし、ひょっとすると離婚率増加と少子化に対する効果的な対策になったりするかもしれない。もちろん、これらはあくまで統計上の話であって、恋愛だろうがお見合いだろうが、幸せになるかそうでないかは人それぞれであり、どちらにせよ夫婦の互いの努力が重要であることは言うまでもないが。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
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「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。