8月1日、世田谷区の一部の住民が「世田谷ナンバー」という「ご当地ナンバー」に反対する訴訟を起こしました。しかし、今日になって提訴を取り下げたらしい。これ、いわゆる「アベノミクス」で不動産市場が少し活況を呈している中、ちょっと興味深い事件です。世田谷区の住民は、自分たちが住んでいる土地に誇りを持っているのかコンプレックスを持っているのか、どうも微妙なところなんでしょう。実際にそこに住んでいる人と他地域の人の間にイメージギャップが生じることはありがちです。実際につけてると「横浜ナンバー」なんて、どうしてあんなに価値が高いのか理解できない。
住んでる人にとって、その土地の「ブランド」はかなり重要です。このブランドを土地の値段とすれば、東京23区では、港区、千代田区、渋谷区、中央区、目黒区あたりが住宅地公示地価が高い。これはすべて「品川ナンバー」です。その後に練馬ナンバーの文京区や新宿区、足立ナンバーの台東区が続き、土地の値段で言うと世田谷区はトップ10にかろうじて滑りこんでいる程度。23区で10位だから、いかにも微妙な感じです。
くだんの訴訟に関して言えば、居住地域が限定されるので「個人のプライバシーの侵害」になる、ということで「世田谷ナンバー」に反対していたようです。「世田谷ナンバー」反対だった人は、当たり屋を恐れるお金持ちなんでしょうか。表題のブログでは、ご当地ナンバーは地域振興と地名の宣伝が目的なんだから、世田谷の人たちもワガママを言わずに地元のことをきちんと考えたらどうか、と書いています。しかし、こうした目的だと確かに「世田谷ナンバー」にする理由は希薄。国交省は同ナンバーを承認してしまったんだが、世田谷に地域振興や売名が必要なのかどうか、こっちも微妙な感じです。
TOPIC×トピック
ご当地ナンバー決定!選べる?選択は強制?世田谷と杉並は人気?
ダウン症を引き起こす染色体の異常な機能をiPS細胞で修正──染色体治療を提唱
IRORIO
普通は2本ペアの染色体で、21番染色体が3本あって起きるダウン症なんだが、最近になって様々な治療方法が模索されるようになってきています。2013年6月にはアルツハイマー型認知症の治療薬をダウン症に効くかどうかの臨床試験が始まっています。この記事では、その1本余分な染色体の働きを抑える遺伝子治療を紹介しています。いわゆる「出生前診断」の是非が話題になり、高年齢出産によるダウン症児の出生比率が高まる傾向もあり、こうした研究はどんどん進んでいくでしょう。その一方でダウン症の親族などからは、すでに生まれているダウン症の人への否定につながりかねない、という懸念の声も聞こえてきます。しかし、医薬の発達によって今いるダウン症の人たちの「ダウン症」という症状を軽減することは、ごく普通の治療行為ではないか、と思います。
アメリカの都会 衰退する街、繁栄する街
Market Hack
「デトロイト化」は米国特有のクルマ社会を過度に推し進めた結果、という記事です。米国では、歩行で移動が可能な都市ほど栄えているらしい。歩きやすさ、というのは治安とも関係してるんだが、そんな街ほど知識集約産業が発達しやすい、ということ。一方、日本でも「郊外化」という「デトロイト化」があちこちで進んでいます。イオンなどのモール以外は全滅、という地方都市も多い。「米国流」と誤解させられている大規模小売店舗を進めると地域の衰退が始まる。ちょっとこのへんは考えたほうがいいですな。
New Dinosaur Species Found In Utah Totally Looks Like A Cow
POPSCI
こういうのを「収斂進化」というんだが、違う種の生物でも体の特徴などが似てくる、という話です。現生のイルカが古代の爬虫類型海棲恐竜と似ていたり、手の指が翼に発達したコウモリと翼竜なんかもそう。この記事では、米国ユタ州で新たに発見されたトリケラトプスの仲間の角竜の化石が今の牛にそっくり、という話を紹介しています。
アイルランドで人を襲うイルカが出没、負傷者続出中
スラッシュドット・ジャパン
コレこないだ当コーナーで紹介SF小説『深海のYrr』のエピソードに似てます。イルカやクジラが人間に反乱を起こし、ついには「海洋」全体が崩壊する、という話。これがそんなカタストロフィの前兆じゃなければいいんですが。
アゴラ編集部:石田 雅彦