マレーシアでコンドミニアム投資を決めた2つの要因分析 --- 内藤 忍

アゴラ

Facebookには写真もアップしましたが、先月出かけたマレーシアのクアラルンプールで視察したコンドミニアムを購入することにしました。2016年完成予定のプレビルド物件で、広さは約60平方メートル。クアラルンプールの中心ブキビンタンから1kmほど離れた大使館などが集まるエリアにあります。


まだモデルルームしかない物件で、しかも見学して説明を受けてから30分ほどで購入を決めてしまいました。衝動買いはするな、と不動産投資の注意を喚起しているのに、自分が衝動買いしているではないか、と思うかもしれません。

しかし、クアラルンプールには今年既に2回視察でやってきており、10件以上の物件を投資家目線で視察してきました。その中で、購入価格や立地、デベロッパーのクオリティなどについて、他の物件と比較した上で、「リスクが取れる」と判断しました。

その判断理由は、アルファとベータの2つの収益が期待できるというものです。

今週発売予定の新刊『貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい』にも書きましたが、株式でも不動産でも、価格の変動要因はアルファとベータの2つに分類できます。アルファとは超過リターン、ベータとは平均のリターンです。

例えば、自分の投資した株が15%上昇した時に、日経平均が10%上昇していたとします。その場合、アルファから5%、ベータから10%のリターンが得られたと要因分析できます。

投資のリターンとはこのように、市場全体の上昇と、市場に対する個別銘柄の相対的な上昇の2つに分けて考えるのです。

投資全体のリターン = 市場平均のリターン + 個別銘柄の超過リターン

今回クアラルンプールに購入しようとしている物件は、ロケーションが良い割に価格が抑えられ、さらに今後の金融特区の開発のメリットも受ける可能性が高いと考えました。他の視察物件に比べ、割安。つまりアルファが得られる可能性があると判断したのです。もちろん、これは様々な情報を集めた上での私の判断です。絶対正しい訳ではありません。

では、クアラルンプールの不動産全体の将来性はどうでしょうか。これも確実なことは誰にもわかりません。しかし、経済成長率や人口増加のスピードを見れば、需給の悪化などで価格が低迷する時期もあっても、10年単位で見た上昇基調は変わらないと判断しました。目先の上昇スピードが速いのが気になりますが、利回り水準から見えば、まだ割高とはいえない状態です。つまり、ベータも期待できるという訳です。

投資のリターンは、不確実性の中から生まれます。絶対に儲かることがわかったらその時点で、投資対象は値上がりしてしまい、投資価値は無くなります。どこまでの損失なら覚悟できるかを冷静に判断し、リスクをリターンを考えて最終判断するしかありません。

今回の投資で、海外不動産投資は2件目になります。さらにじっくりと投資を進め、実物資産からの安定したインカム投資が得られる仕組みを作っていこうと思います。

8月末にはフィリピンへの投資視察、9月末にはタイへの投資視察を予定しています。個人投資家の皆さまと同じ目線で投資機会を探してみるつもりです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年8月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。