ヘリ搭載護衛艦「いずも」艦名の謎

アゴラ編集部

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8月6日、横浜のドッグで海上自衛隊に配備予定のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」の命名・進水式が行われました。これが海自のお知らせです。艦名は「命名式終了まで控えさせていただきます」と書かれている。コレ、防衛省の海上幕僚幹部が艦名を命名式前にネット上にさらしていたことがわかって問題になりました。そのまま艦名「いずも」でやったようです。


単なるケアレスミスなんだろうが、幕僚監部の中枢がこれだと困りますね。「いずも」という名前もちょっとどうかなと思う。「いづも」じゃないのかな。ところで、同艦の名前については旧海軍の「長門」を使う案が出ていたそうです。戦艦「長門」は山本五十六が連合艦隊司令長官だったときの旗艦。旧国名で安倍総理の地元の山口県が「長門」にあたり、この艦名は「諸事情」を勘案して没になったらしい。こうした背景をみると「いずも」の艦名漏洩も何やら単純なミスじゃなかったかも、なんて邪推したくなります。

旧海軍の艦名はわりと規則的で「艦名命名則」というものに決められていました。戦艦は例外もあるんだが「大和」や「武蔵」といった旧国名、空母は「鳳」や「翔」などがついた空を飛ぶ空想上の動物名、重巡洋艦は「鳥海」や「羽黒」などの山の名前、軽巡は「阿武隈」や「川内」などの川の名前、駆逐艦は天候や植物の名前、砲艦は名勝旧跡、といったものがつけられていました。ちなみに艦首に菊のご紋をつけることができるのは「軍艦」のみに限り、駆逐艦や潜水艦は「艦艇」なのでついてません。砲艦は「砲艦外交」といった表現があるように「軍艦」に含まれ、小型艦ながら菊のご紋がついていました。

海自の艦名の場合も旧海軍のこうした傾向を受け継いでいます。「いずも」も旧国名。海自には「海上自衛隊の使用する船舶の区分等及び名称等を付与する標準を定める訓令」というものがあり、DD、DEのついた大型護衛艦には、気象、旧国名、河川名をつけること定められています。海自で艦名をわざわざ平仮名にしてる、というのは、旧海軍の艨艟を連想させるから、というもっぱらの推測です。

「ひゅうが」や「いせ」のヘリコプター搭載護衛艦は旧海軍で「航空戦艦」と呼ばれた「日向」と「伊勢」から取られているようです。航空戦艦というのは、後部の主砲を撤去し、代わりにフロートをつけた攻撃機を搭載可能にしたもの。ミッドウェー海戦などで空母が続々と沈められ、航空戦力の不足を補うためのものでした。こうしたことから「いずも」型の前に就役したヘリ搭載型護衛艦の名前には旧海軍への強い思い入れがうかがわれるのに比べ、「いずも」の艦名は、旧海軍に同艦名があったにせよ、あまり目立たない当たり障りのない名前にしよう、という「政治的な力学」が働いている。「鳳」や「翔」がついた艦名などトンデモない、ということです。

今回、進水式が行われた「いずも」なんだが、排水量が1万9500トン、全長248メートルで、2009年に就役した「ひゅうが」型護衛艦(1万3950トン、197メートル)より約1.2倍強の大きさです。過去に同じようなヘリ搭載護衛艦は「しらね」型、「ひゅうが」型がある。ヘリコプターだけを運用し、共同演習で「ひゅうが」型に着艦していたオスプレイ程度なら楽に運用できそうです。

この点、中国を刺激しそう、ということで表題のブログでは、VSTOLは運用できず、ヘリも最大14機しか搭載できないのに何をうるさく騒いでいるのか、と書いています。VSTOLについて言うと、発着の際の飛行甲板の強度が問題です。ジェット噴射を甲板に吹き付けるので、その対策が必要。ハリアー程度ならなんとか、ロッキードマーティンのF35は噴射が強くて難しいだろう、という意見が多いようです。いずれにせよ、中国も空母の開発配備を急いでいる。もちろん、中国が言うような脅威にはなりえないとは言え、軍事的均衡状態を保つ上でも「いずも」型護衛艦の就役は重要でしょう。

つれづれ日記
ヘリコプターしか搭載していないのに何をビビッているのでしょうか。

※画像は「ひゅうが」型護衛艦。海上自衛隊ギャラリーより。


韓国の女性が直面する「マミートラップ」
クーリエ・ジャポンの現場から
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livescience
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アゴラ編集部:石田 雅彦