テレビでイケメンばかり特集されてあまりイエメン事情が特集されないので、今日はイエメンのお話。
なんで突然イエメンの話をするかというと、先日イエメンでアルカイダ系のテロ組織がムッカラーの石油施設を襲おうとしたけど何とか米軍が未然に防止した、なんて話がありまして中東に石油を頼り、またアメリカと同盟を結んでいる我が国としても他人事ではないな、と思ったからです。(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130807/mds13080723520004-n1.htm)ではまずイエメンはどこにあるかって話なのですが、サウジアラビアの下です。
(google様より引用)
これをみるとイエメンは地政学上とてつもなく重要な位置に存在していることがわかります。サウジアラビアでとれた石油がマンデブ海峡~アデン海というイエメンの領海を通って世界に行くわけです。イエメンは貧乏な国で、お隣のサウジアラビアの一人当たりGDPが23000ドルなのに対して、イエメンは1500ドル程度しかない。一方で人口が2400万人もいるんで爆発力はすさまじい。そんなわけで怨嗟が渦巻くこの国でイスラム過激派が政権を握った場合中東の脅威は一気に増すのですが、何とか現状は民主主義政権にとどまっている、そんな国です。ちなみにマンデブ海峡の一方の向かいにあるソマリアはご案内の通りもはや無政府状態が恒常化しているので、イエメンの地政学上の重要性をさらに高めています。我が国に至ってはサウジアラビアに3割の石油を依存しているので、イエメン事情は他人事とは言えません。
そんなイエメンでは今「AQAP(アラビア半島のアルカイダ)」というテロ組織の活動が活発で、今回のテロ計画も同組織によるものです。ちなみにAQAPは今CIAが最も危険視しているテロ組織だそうで。イエメンはアラブの春で長年の独裁政権であったサーレハ政権が2011年に打倒されて今は、仮の大統領が統治する政権移行期ですがなんとか国内の諸勢力がまとまっている状態ではあるので、このまま上手くことが推移してほしいものです。
イエメンはスンナ派とシーア派が半数ずつを占めているのですが、シーア派の雄たらんとするイランが裏で政治介入を図っている節もあり(イランはイエメンへの介入に成功するとマンデブ海峡とホルムズ海峡という中東の二大チョークポイントを手にすることになる)、それに反発したAQAPがイラン大使館職員を拉致するなんて事件も起きています。(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130722/mds13072208210001-n1.htm)
そんなわけで、民主政権、テロ組織、シーア派勢力のバトルロワイヤル化するイエメンは日本にとって対岸の火事というわけにはいかないので、これから何十年も続くであろう彼の地の不安定な状況を「やばいよやばいよ」と思いながら皆さんも見守ってあげてください。日本国民の税金でかの国の危機を支援することになってもそこは理解してあげないといけないとこだと思います。ちなみにイランとも話ができ、隣国オマーンとも比較的良好な関係にある(ブサイナ王女は日本人とのハーフ)日本は本来キーマンになってもおかしくない存在ではあります。うかつに中東に顔を出すと大火傷するので慎重に対応する必要はありますが。
こうしてみると長期的に見たら日本のこの脆弱なエネルギー構造はやっぱり変えていかないといけないような気がします。なんだかんだ再生可能エネルギーの拡大と自前(かもしくは同盟国から)の火力発電向けの資源の確保っていうのは重要な気がしますね。
ではでは今日はこの辺で。
編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。