ほうほうやはりドコモからもiPhoneか

大西 宏

SankeiBizにNTTドコモの坪内副社長へのインタビュー記事がでています。機種絞り込みでアイフォーン販売へ地ならしは整い、あとは「いつ出すかが問題」だそうです。やはりという感じがします。
また、「スペックが最高というだけではだめ。機能的な売りを組み合わせてMNPも改善したい。キーワードの一つは電池の持ち時間だ」というところはこれまでブログで指摘させていただいたことと同じ趣旨です。
iPhone販売「態勢は整った。いつ出すかが問題」 NTTドコモ副社長 – SankeiBiz(サンケイビズ) :


ドコモも日本では特に人気の高いiPhoneを扱いたいという気持ちはわかります。ソフトバンクやauはiPhoneを武器に顧客を奪ってきたのですから。ただドコモにとってはアップルの販売条件があまりに厳し過ぎたのです。

ところでドコモがiPhoneを扱うようになると、キャリア間の競争条件は変わってきます。坪内副社長が「端末の機能が同じ水準になると、次はネットワークの勝負になる。高速データ通信『LTE』の速さとつながりやすさだ」(同記事)とおっしゃっていますが、それはひとつの要因でしかなく、もっと厳しい通信料金などでの価格競争も始まるのではないでしょうか。いわゆる通信ビジネスの「土管化」の脅威がさらに強まってくることは避けられそうにありません。

問われてくるのは、ハードとは異なる別のアプローチでスマートフォンの市場をシフトアップさせることができるかどうかでしょう。そろそろ機種の機能としては、電池のもちなどの改善課題はあるものの成熟してきています。機能を満載したハイスペックのギャラクシーS4が失敗に終わったことはそのことをなによりも物語っています。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : ツートップ戦略に見るサムスン失敗の教訓 :

鍵を握るのはdマーケットでしょうが、まだ、そのサービスによって付加価値をつけ、差別化と売上拡大をはかるという企業の論理しか伝わってきません。買収した「らでぃっしゅっぼうや」にたとえ魅力があっても、Eコマースとして考えればまだまだニッチな事業で、そこからなにかが大きく開けてくるとは思えないのです。同じく買収したメディカルデータベース事業の日本アルトマークについても同様です。まだまだ道のりの遠さを感じてしまいます。
朝日新聞デジタル:ドコモ、日本アルトマーク買収-医療情報強化 – 日刊工業新聞ニュース – テック&サイエンス :

スタジオ・ジブリ作品の『風立ちぬ』の映画のなかで「設計は夢をカタチにすること」という言葉がでてきますが、今日では消費者と共有できる「夢」をカタチや体験として提供できるかどうかにかかっているのでしょう。

たとえ、ドコモがiPhoneを取り扱ってもドコモの反撃としては弱く、やはり契約者数で50%近いシェアを持つリーダー企業としては、新しい価値、新時代を感じるスマートフォンサービスのリ・インベンション(再発明)に本気でチャレンジしてもらいたいものです。果たしてドコモはどのような夢を描き、提供しようとしているのでしょうか。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : いまさらドコモがiPhoneを扱ってもねぇ :

チャレンジャーであるソフトバンクやauとは異なり、市場のリーダーであるドコモがそういった消費者に共感されるビジョンを描けない限り、同質化競争の蟻地獄が待っていることは目に見えているのですから。

それにしても、iPhoneはシャンパンゴールド色がでてくるとか、普及型のプラスティックケースのiPhoneCがでるとか、これまでになく情報流出がはなはだしいことが気になります。なにかそれ以外のサプライズとなる隠し球を持っているのでしょうか。またサムスンが対抗としてなにをぶつけてくるのでしょうか。この秋のスマホ戦線からは目が離せなくなってきました。