(続)デジタル教科書のメリット・デメリットなど、今さら議論は不要

山田 肇

先の記事「デジタル教科書のメリット・デメリットなど、今さら議論は不要」に多くのコメントが付いた。そこで、デジタル教科書導入の効果について情報提供し、教員の負担についてコメントを戻すこととしたい。

デジタル教科書導入の効果を示すことについて:

佐賀県武雄市は今年5月に「小中学校の児童生徒全員約4千人にタブレットを配布する方針」と発表した。これを伝えた佐賀新聞の記事には次の記述がある: 武雄市は、2011年3月までに山内東小と武内小の4~6年生全員に「iPad」を配布。山内東では整備後に、知識理解や技能成績が全国より高くなる調査結果が出ている。

この方針を打ち出した協議会の座長・松原聡東洋大教授は、デジタル教科書教材協議会が6月に開催したシンポジウムで、iPadを利用して学習した武雄市児童は全国学力調査で全国平均よりも高い点数だったと報告している


全国地域情報化推進協会(APPLIC)のシンポジウムでは、ICTを活用した児童生徒の成績がICTを活用しなかった児童生徒よりも高かったという結果が2006年の文部科学省委託事業で出た、報告されている。また、総務省が推進した「フューチャースクール推進事業」の成果を元に作成されたガイドラインには、成績向上以外の効果も詳しく説明されている。

ざっと、調べてもこんな情報がごろごろ出てくる。辻元氏の求める「きちんとした大規模な実証実験を数年掛けて行い、メリット、デメリットを国民の前に提示すべき」はすでに実施済みなのである。だから、ぼくは「今さら何を言っているのだろう」と書いたのだ。

教員の負担が増すことについて

デジタル教科書を導入すれば、それを活用するために教員には、一時的かもしれないが、負担がかかる。これは、辻氏の指摘のとおりである。しかし、教員の負担が増すからと、デジタル化した世界で生きていく子供たちへの教育を旧態依然のままにしておくことは許されない。だから、教員の負担増は反対の理由にはならない。

山田肇 -東洋大学経済学部