少し前に「アンチグローバルマッチョ宣言」という記事を上げたのですが、なかなかに反響がありまして、ありがたくも「もう少し掘り下げるべき」とのコメントを多数いただきましたので、今回はグローバルマッチョの行動原理についてもうちょっとだけ考察を深めてみたいと思います。かなり下品な投稿ですので、不快な思いをされたくない方は読まないでください(笑)さてグローバルマッチョは主として
●グローバル人間ピラミッド理論
●グローバルマッチョ三面等価の原則
という二つの原則に基づいて言動を繰り返す極めて単純な種族です。それぞれについて簡単に説明したいと思います。
「グローバル人間ピラミッド理論」というのは「人間はグローバルでの活躍度合いによって、ピラミッドのように上下の序列がつけられる」というものです。世界で認められ称賛されている人は偉くて、国内にとどまっている人間は価値がないという発想です。彼らは街角で地域のために頑張っている医療関係者や生徒の個性を伸ばそうと奮闘する教師や商店街で安くてい美味しいもを提供しようとする飲食店といった存在を、「地域にとどまり低レベルの社会で満足する意識の低い人間」として捉え、軽視する傾向があります。彼らは人間が「世間からの評判」という指標によって、階層分けされていると強固に信じており、その基準で無意識に人間を勝ち組、負け組に分類します。そして負け組にならないためピラミッド階層の上に所属しようと懸命な努力を重ねます。特にやりたいことや分野の指定もなく漠然と、「頑張らないと負け組になる」「世界には上には上がいる」「もっと頑張って上を目指す」「世界に押しつぶされる」、といった言葉を連発するのはグローバルマッチョの特質です。
続いて 「グローバルマッチョ三面等価の原則」ですが、これは「レベルが高い人間の価値=レベルが高い人間と同じコミュニティに所属しているオレの価値=オレと同じコミュニティに所属している君の価値」という三つの等式を成り立たせる理屈です。例えばどこかの大統領とグローバルマッチョが一緒に仕事をしたとすると、「自分は大統領と同じコミュニティに属しているから、大統領と同じレベルの人間である」と自らを見なし、さらには「大統領と同じレベルの人間であるオレが主催するコミュニティに所属すれば、君も大統領と一緒のレベルの人間になれるよ」という理屈で、自分のメルマガやセミナーへの登録を促します。なんということでしょう、グローバルマッチョと握手をするだけで、キミは一国の大統領と同じレベルの人間になれるのです。。。本当はそれぞれの人間はいうまでもなく独立した存在なんですけどね。ちなみに彼らは同じコミュニティに属することを「握手をして写真を撮る」ことで確認し、その上で「出会いに感謝」なる報告をネット上に上げることで、自分がその人と同等のコミュニティに属したことを世間にアピールします。
この二つの原則を踏まえた上で彼らの言動を見るとだいたい理解することができます。世界的な勝ち組であるアメリカ等の起業家や政治家や金融エリートの候補に近づくために、一生懸命英語を勉強して海外の一流大学やシンクタンクに所属して、彼らと同じコミュニティに所属することで自らのレベルを引き上げて、レベルが上がった自分の立場から訓辞を垂れて一般庶民と握手をしてあげることにより彼らのレベルを引き上げてあげるというビジネスを展開している、というところでしょうか。徹頭徹尾ピラミッドを駆け上がることがモチベーションの源泉となっており、「好きなこと極めたい」「もっと○○について知りたい」というような内から湧き上がる純粋な衝動は彼らとは無縁です。
例えば彼らは自分の思いに従って果敢にチャレンジして世の中を変えるようなビジネスを生み出した世界的起業家たちを口々にたたえる傾向がありますが、そのくせ自分たち自身がこのような形で「世界で評価されている人間」になるためにリスクを冒してチャレンジするようなことはしません。それでは失敗して負け組になってしまう可能性があるからです。グローバルマッチョにとって負け組というレッテルほど耐え難いものはないのです。なので、自らがチャレンジする代わりにそういった人たちに「近づく」ことによって同じステイタスを得ようとするのです。知識や身体的能力で人から抜きんでようとする彼らの懸命な努力は、ノーリスクでピラミッドを駆け上がるための手段ですので、見方によっては「楽をしている」と捉えることもできます。
ということで今回はグローバルマッチョの行動原理について簡単に考察してみました。色々と批判的には書きましたが、これはこれで一つの生き方として首尾一貫して完成されているのではないかと思っています。結果として社会的成功を得られる可能性も高いですしね。ただ私はあまり好きではないので、あまりそういった価値観を人に押し付けるような言動、例えば「これからの世界を生き抜くためには英語を必死に学んで世界に飛び出るしかない!!!」とかいうようなもの、を控えてほしいというだけです。世の中価値観は人それぞれで、各々ゴールは違うんですから。別にピラミッドを登るだけが人生ではありません。
ではでは今日はこの辺で。
編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年9月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。