『アベノミクスの終わり リフレ派の嘘』(藤沢数希/池田信夫著 価格:¥300税込)がアカシックライブラリー(旧アゴラブックス)より発売されました。
参議院選挙で圧勝して勢いがつくかと思ったアベノミクスが、急に失速しています。黒田日銀総裁の「量的・質的緩和」は予告どおり激しくマネタリーベースを増やしましたが、物価(コアコアCPI)はデフレのまま。彼の重視する予想インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)は下がってしまいました。
「2年で2%のインフレ目標が実現できなければ辞任する」と大見得を切った岩田副総裁も、最近の記者会見で「予想インフレ率は下がっている」と追及されて「もう少し長い目で見てほしい」と苦しい言い訳をしています。
おまけに与野党3党で合意して法律で実施が決まった消費税率の引き上げを、土壇場になって見直すとか見直さないとか安倍首相の方針が迷走し、その決断力のなさが露呈して政権の求心力が失われてきました。
「第2の矢」の財政政策は、旧態依然のバラマキ公共事業で、財政を悪化させる以外の効果はありません。「第3の矢」の成長戦略は各官庁の概算要求をホッチキスで綴じただけ、という伝統的な自民党の政策で、中身が何もありません。
GDP(国内総生産)の半分を超える270兆円の日銀券をばらまく「異次元緩和」は、失敗したら金融危機が発生するだけでなく、財政が破綻するリスクもある、史上最大規模のギャンブルです。
何もやらないより新しい政策にチャレンジすべきだ、という意見もありますが、このギャンブルが失敗すると、莫大な損害を負担するのは国民です。この結果がどう出るのか、外資系金融機関でキャリアを歩んできた藤沢数希氏と一緒に考えてみました。池田信夫――プロローグより
目次
プロローグ
第1章 突然はじまったリフレ政策
アンチビジネスからプロビジネスへ
インフレ目標と金利引き下げは矛盾する
「念力」でインフレ予想を起こそうとした黒田総裁
第2章 アベノミクスの成果は円安だけ
黒田総裁の本当の狙いは円安誘導
日銀はリーマン・ショック後の円高を止められたか?
財政ファイナンスの下地を作ったリフレ政策
海外の中央銀行や財務省はアベノミクスを支持
第3章 「ガラガラポン」で日本経済はよみがえる?
リフレ派の狙いはヘリコプターマネー
ハイパーインフレは起こるか?
異次元緩和と財政ファイナンスの行き着く先は大増税か大インフレ
第4章 アベノミクスの第2、第3の矢は飛ばなかった
税制改革は進まず
雇用規制改革は進まず
資本市場改革も進まず
グローバル資本主義の中で日本人はどう生き抜くか
エピローグ
【著者略歴】
藤沢数希(ふじさわ かずき)
理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で研究職に就いた後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスク・マネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。ツイッターのフォロワー数は7万人を超える。
池田信夫(いけだのぶお)
株式会社アゴラ研究所所長。SBI大学院大客員教授。
1978 年東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93 年に退職後、国際大学 GLOCOM 教授、経済産業研究所上席研究員などを歴任。学術博士(慶應義塾大学)。
1997 年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程を中退し、著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『日本経済「余命3年」』(共著、PHP研究所)、『新・電波利権』(アゴラブックス)、『使える経済書 100 冊』(NHK 出版)、『原発「危険神話」の崩壊』、『「日本史」の終わり』(PHP 研究所)、『アベノミクスの幻想』(東洋経済新報社)など多数。 個人ブログのほか、言論サイト「アゴラ」を主宰。
アカシックライブラリー
(株式会社アゴラブックスは株式会社アカシック ライブラリーへと名称変更致しました。)