スーダン出身のアブドラ・シェリフ国連記者は、「土曜日(5日)午後、ウィーン市内で、海外に住むスーダン人とその友人たちが、スーダンのバシール政権の圧制に抗議する国民へ連帯表明するデモ集会を開催する」と教えてくれた。
シェリフ国連記者は「今度は少し性格が異なる。これまでの虐殺事件はスーダンの首都ハルツームではなく、地方で発生したが、今回は首都で堂々と虐殺が起きたのだ。国民はかなりショックを受けている」という。
スーダンで連日、反体制デモが起きているが、その主因は「バシール政権の圧制、貧富の格差、国民経済の停滞などだ。スーダンの国民はバシール政権に深く失望している。バシール大統領はこれまで以上に強権で反体制派を弾圧してきている。大統領派にとって他の選択肢がないのだ。生き残るか、殺されるかの選択だ。だから、反体制派への弾圧を強化しているのだ」という。
スーダンはこれまで原油輸出で巨額の外貨を獲得したが、「その金がどこに行ったのか誰も知らない」という。富む者と貧しい国民の格差は急速に拡大してきた。多くの国民が政治家の腐敗や汚職に強い怒りを持つのは当然というわけだ。
ジャズ石油相の息子が1000万ドルを所持してアラブ首長国連邦の首都ドバイ入りしたところ、当局に拘束されたという情報が流れている。バシール政権の多くの閣僚やその家族は獲得した資金を安全なアラブ首長国連邦やマレーシアに投資し、保管している。特に、スーダンのオイル・ミリオネアーにとってマレーシアの国営石油会社ペトロナス社は最大の投資先という。なお、スーダン政府は今、アラブ首長国連邦と石油相の息子釈放で交渉を進めているという。
ちなみに、巨額資金は石油相のものか、それともバシール政権の隠し資金かは不明。マネーロンダリング(不法資金の洗浄)の疑いもあると受け取られている。
「スーダンでチュニジアやエジプトで起きた民主改革(通称・アラブの春)運動が生まれる可能性はどうか」と聞くと、シェリフ記者は「スーダンを取り巻く政治環境はかなり異なる。多くの国民はムスリム同胞団に属するが、彼らは体制派と反体制派に分裂しているからだ。スーダン政府を支持する隣国といえば、チャドぐらいだろう。バシール政権はアラブ諸国でも支持を失ってきた」と説明してくれた。
編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2013年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。