航空業界をもう政治行政の「道具」にするな

アゴラ編集部

日本航空が従来の「慣例」を破り、約1兆ドルでEUのエアバスA350を最大56機も導入する、というニュースが一部で大きな注目を集めています。これまで日本の航空業界は、米国製の機材ばかりに莫大な予算を使ってきました。世界規模でみれば、旅客機を作っているのはボーイング社だけではありません。この主な理由は「政治行政的」なもので、日米貿易摩擦などのバーター取引の側面があります。


さらに、政治家も官僚もずっと航空会社を「食い物」にしてきました。これは「許認可行政」の宿痾です。旧運輸省時代から航空会社は官僚の主要な天下り先になっていたし、運輸族らの政治家も地方空港への路線拡大など、思うままに利権を行使してきた。満席でも乗せろ、というような無理難題を航空会社へ日常的につきつけてきたわけです。日本航空の破たんを税金で救済したことの是非はともかく、自民党政権だったらあの巨大航空会社を「軟着陸」させられたかどうか大いに疑問です。これは航空関係に限らない。もちろん菅政権が最善をつくしたとは思えないんだが、原発事故がもし麻生政権のときに起きていたら、と考えると背筋がゾッとします。

一方、羽田空港の国際線発着枠についても最近、話題になりました。昼間の16便の発着枠のうち、全日空へ11便、日本航空へは5便。これに日本航空が不公平だと噛みついた。民主党政権へ代わる少し以前から、どうも全日空は自民党、日本航空は民主党、という「縄張り」ができているようです。一説によると、自公政権は民主党時代の政策にケチをつけるため、全日空へ妙に肩入れしている、とも言われている。「電波行政」と同じように、発着枠も公平な「競争入札制」にすればいいのに、政治家も官僚も動きません。ようするに、いまだに航空会社は政治や行政の「利権」に利用され続けている、というわけです。

こうした傾向はマスメディアにもあります。先回りした忖度記事は「政治行政の提灯持ち」と言われかねません。表題のブログでは、日本航空がエアバスを導入することで、ボーイングの仕事を受注してきた国内産業に影響が出る、と書いた日経新聞を「プラウダ」や「イズベスチャ」並の思考回路、と批判しています。

日本航空も「半官半民」の時代から「普通の企業」へ脱皮し始めている。破たん救済も含め、これまでの政治行政的なコストは、ほとんど利用者がかぶってきたわけです。10月9日、モスクワ便の日本航空機が引き返したように、B787にしても安全性に不安がありつつ飛ばしている。こうしたリスクを背負うのも利用者です。

清谷信一公式ブログ
JALがエアバスからA350の導入を決定、と日経のアレな見識


米国債務上限問題というプロレスの狙い。
スロウ忍ブログ
またぞろ米国のフトコロが騒動を起こしています。「債務上限問題」というのは、これまで何度も政治的な争いに使われてきました。観客は「またか」とそろそろ飽き始めている。共和党が政権を握ると民主党が上限引き上げに反対し、政権が交代すると立場が逆転する。どの国の政治家も同じことを繰り返しています。このブログでは、今回の騒動の目的は中国の為替操作を妨害することなのでは、と書いている。ようするに短期的な茶番劇、というわけです。

女性の労働力率の推移
たんぽぽのなみだ~運営日誌
コレって「アジア」的なジェンダー傾向なんでしょうか。欧米諸国は40年間で女性の労働力率はおおむね上昇し、日本と韓国は女性の労働力率は40年間でほぼ横ばい、らしい。個人的には、欧米の女性は体力も体格もアジア人男性に匹敵するくらいたくましい、と思っています。この「労働力率」というのもよくわからないんだが、男性と女性はどうしても違いがあり、体力体格的な側面も含め、欧米はそのあたりの擦り合わせがうまくできているんじゃないでしょうか。マスメディアの態度も問題なのかもしれませんが、子育てや家庭環境など小さいころからの社会的な影響も少なくないと思います。

世界最古の人間の脳が沸騰して保存された状態で見つかる
Gigazine
うっかりタイトルを読んだ時点で「やっぱり食人習慣があったんだな」と早合点してしまいました。まあ元記事が『NweScientist』なんでアレなんだが、高熱の火山灰で埋もれた人の脳が炭化して見つかった、というわけ。確かに、煮たら食べてしまうので残りませんね。

文章が苦手な人やブロガーはチェック!仕事やブログで使える6つの文章術
シンプルデイズ
これは参考になるかもしれません。導入部で納得させる、というのは、マスメディアで記事を書くときの基本です。よほど書き方がうまくないと、最初に無関係なものを書いて引っ張っていく、というのは高度なワザで難しい。どれも基本的なことなんだが、この6つを注意するだけで、けっこう読んでいて苦痛にならない文章を書くことができるでしょう。


アゴラ編集部:石田 雅彦