さて特定秘密保護法案について賛成だ、反対だ議論が盛り上がっています。が、私が思うにこの事件に関して本当の当事者”だった”と呼べる人は日本に一人しかいないと思っていまして、それは皆さんがそろそろ記憶の彼方に忘れ去ろうとしている元海上保安庁職員「一色正春」さんです。。。。というとピンと来ないと思いますが、尖閣の漁船衝突のビデオを流出させて、そしてその後退職せざるを得なくなったある意味「正義の人」で、歪んだ国家機密なるものの被害者です。で、彼自身がこの法案についてどのように言っているかというと、「賛成。反対する人はもう少し真面目に反対しろ。」とのことです。
そしてまた面白いことに、この時一色正春氏を退職に追い込んだ民主党と社民党が、特定秘密保護法案に反対している(民主党は部分賛成ですが)というのもまた考えさせられる話です。
結局この法案で問われているものは何なのか、というと報道されているような「知る権利」に関する論点は実は争点ではなく(みなが「知る権利」の重要性は認める)、論点はその背景にある安全保障というものに対する考え方だと思う訳です。前者はプライオリティの問題で制度的な議論や工夫で解決できる問題ですが、後者は利害衝突の問題で調整のしようがない。そして秘密保護法案が成立したら一番困るのは誰かを考えれば、どこが後ろにいるか直ぐに分かるはずです。(お隣の国とかお隣の国とかお隣の国とか)
wikileaksやyoutubeや2ちゃんといったネットメディアがこれだけ発達した時代に、政治家や行政の保身のために不正に情報を完全に封じ込めるということはもはや不可能なわけで、この法律が機能を果たすのはもっと専門的・技術的な事項に関することになるのでしょう。そしてその主要な対象は、おそらく軍事・安全保障外交に関する情報と核燃サイクルに関する情報のように思えます。
軍事情報に関する機密性の必要性は多くの人が認めるわけですが、後者に関しては見解が分かれるわけで、今後どのような議論が国会でなされるかを個人的には楽しみにして参りたいと思います。
ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年11月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。