日本のメディアのアジアに関する報道を見ていると、中国と韓国に関するものが圧倒的に多いことに気が付きます。韓国は日韓の過去の歴史問題に関する報道や竹島の問題などで、中国は尖閣諸島周辺の防空識別圏の問題が報道のテーマになっています。
このようなニュースが連日報道され、日本人の韓国や中国に対するイメージは急速に低下しています。国内の報道を見る限り、韓国や中国国内においても、同じように反日感情が高まっているように見えます。
この2か国だけを見ると、日本がアジアにおいて嫌われている国のように思う人もいるかもしれませんが、東南アジアに足を伸ばすと、情景は一変します。
マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、カンボジアといった国に行ってみて、気が付くのは日本に対する尊敬と憧れです。
経済援助や技術支援をしている国は、日本に対して感謝の気持ちを持っています。技術力でアジア最高の品質をを生み出す日本は、見習いたいアジアのお手本の国なのです。そして、ファッションやアニメ・音楽といったコンテンツは、憧れの対象です。
以前、トルコや台湾に行った時に感じたような、親日的な雰囲気を東南アジアの街を歩いていても何となく感じることが多いのです。
東南アジアで住居を借りる際、借り手として日本人の人気は高いと聞きます。日本人は家賃も滞納することが少なく、几帳面に払ってくれる。また、部屋を綺麗に使ってくれるので、不動産の価値が下がらない。一旦住み始めると、あまり文句を言わない。そんな理由から、借り手として理想的な対象と見なされているのです。
日本国内の報道には、日本のメディアのスクリーニングがかかっています。世界で起こっていることが、バランス良く報道されているのではなく、恣意的に濃淡が付けられ、見えないことがたくさんあるということです。
東南アジアのニュース報道が少ない理由はわかりません。現状のような国内のアジアに関する報道を鵜呑みにしていると、日本は近隣諸国ともめてばかりいる国ではないかと思えてしまいます。しかし、海外メディアの情報を見たり、自分自身で現地に行ってみると、見方は随分変わります。
政府に報道統制されている独裁国家を馬鹿にしている日本人自身も、気が付かない間に国内メディアに報道統制されている可能性があるのです。
そうならないためにどうしたら良いのでしょうか?
まず、情報は出来る限り自分自身の目で確かめる「1次情報」にアクセスする。そして、報道や人づてに情報を得る時は、複数の情報源を持つことによって、客観性をチェックするようにする。多面的な情報収集と情報源のクオリティの確保によって、対抗するしかありません。
日本の新聞だけを読み、日本のテレビだけを見ていると、大きな勘違いをしてしまうリスクがあるのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。