お笑いボクシング劇場の顛末

アゴラ編集部

ほとんどのボクシング・ファンは「黙殺」してるのが亀田兄弟です。WOWOWの『エキサイトマッチ』の解説では、帝拳ジム主導番組というのを差し引いても不思議なことに「亀田」の「亀」の字も出ない。三兄弟とも世界チャンピオンになったのは史上初なのに、これはちょっと残念だし異常です。かなり前から周知の事実なんだが、彼らの試合はとにかく疑惑を抱かせるような内容のものが多い。たとえば、2006年8月2日に横浜アリーナで行われた亀田興毅とフアン・ランダエタのWBAライトフライ級王座決定戦。サウスポーのテクニシャンと称されるランダエタは、元ストロー級チャンピオンであり、アマ時代のキャリアもスゴい選手でした。


この試合、際どい判定で興毅が勝ち、初めて世界チャンピオンになった。しかし、実際の試合は、ほとんどランダエタが興毅にスパーリング練習をしてるような状態で、手数は出ていたんだが確かにパンチが軽かったにせよ、とてもあんな判定結果が出るなんて予想できない試合でした。また、近いところだと今年11月19日に韓国の済州島で行われたWBA世界バンタム級の試合。チャンピオンの亀田興毅は、同級14位の挑戦者を判定で退けたんだが、判定結果が「微妙」と話題になりました。まあ、こうした例を挙げていけば枚挙に暇がありません。

ボクシングに限らず、格闘技に「八百長」はつきものです。「八百長」ではなく「手心」と言い換えてもいい。「残念プロレス」なんていう言葉があるように、プロレスはこうした「手心」をいかにホンモノらしく見せるかという一種の「ショービジネス」になっている。人間同士がガチでぶつかり合うわけで、周辺の人間関係や利害関係など、試合に何らかの影響が出てしまうのは仕方ないのかもしれません。特にボクシングの場合、誰もがわかるノックアウトではない判定となれば、手数や有効打などの減点法がわかりにくく、そこに何らかの疑惑が浮上することもよくあります。過去には、判定に不満を抱いた関係者が乱闘騒ぎを起こす「大串事件」などもありました。

自信をつけさせるため、いわゆる「噛ませイヌ」を対戦させるなんてのは、ボクシングではありがちな話です。最強なはずのチャンピオンが挑戦者を指名する際、自分より明らかに強く負ける可能性の高い相手と試合するはずもない。ただ、これは論外なんだが、1982(昭和57)年3月には、協栄ジムの金平正紀会長が対戦相手の食べ物に薬物を入れたという「工作疑惑」でボクシング界を永久追放された事件なども起きている。格闘技にまつわる「興行」ビジネスに裏社会の関与がなかなか排除できない、というのも背景にあるんでしょう。こうした環境から、その気になれば「八百長」めいた試合を組むことが可能なのかもしれません。

ただ、亀田兄弟がらみの試合では、それらがあまりにも「露骨」なんじゃないの、と指摘する人もたくさんいます。これについては、鬼塚勝也とはまったく違う。また、TBSが鳴り物入りで亀田陣営を梃子入れしているのも有名な話で、ボクシング人気を煽り、視聴率を稼ぐために彼らが「利用」されている、という人も少なくない。今回、話題となっているのは、亀田三兄弟の次男「浪花の弁慶」ことIBFスーパーフライ級チャンピオン亀田大毅とWBA王者のリボリオ・ソリスの王座統一戦で、これもTBSが12月3日の夜に放送しています。

このバカげた試合の顛末は表題ブログに詳しいんだが、ようするにソリスが減量に失敗し、その時点でチャンピオン資格剥奪になっているのにもかかわらず、試合を決行し、判定で大毅に勝ったものの計量ミスで失格していたため、大毅がチャンピオンに居座りつづけることになった、という話です。事前の日本ボクシングコミッション(JBC)の発表では、大毅が負けた場合、IBFもWBAも両方の王座は空位、となっていたらしい。TBSの放映があったため、無理に試合を実現させ、予想外に負けたので事前の発表とは異なったランキングになってしまったようです。

とにかくIBF(International Boxing Federation、国際ボクシング連盟)という団体は、この9月にも選手の計量で騒動を起こし、問題になっています。JBCは、ずっとIBFと距離を置いてきたはず。しかし、ここにきて急接近し、今回の「お笑い試合」を演出してしまった、という次第。誰も得をしないこんなことを続けていけば、いくら「八百長」めいた試合に耐性のある日本のボクシングファンといえど、愛想を尽かすことでしょう。

Passion Fruit ─情熱の果実─
負けた!でもチャンピオンのまま


Rich Chinese People Are Over Luxury Brand Logos
Business Insider
すでに、世界で最もカネを使うのは中国の富裕層、という時代になっています。米国人でもアラブ人でもましてや日本人でもない。彼らの購買行動は世界のマーケティングに影響を与え始めているんだが、この記事によると中国富裕層はもうブランド信仰から「卒業」し、自分たちなりに使い勝手のいいようにブランド品を「改造」するようになっているらしい。ルイ・ヴィトンやエルメス、Tod’sなどへ自分だけの服やカバンや靴を特注する。目利き能力を高め、高価なものがすなわち高品質ではない、と学習しています。中国富裕層はブランド感覚において日本人を完全に凌駕している、というわけです。

事故や災害時にも威力を発揮する血液型検査キット“Emertest”
IRORIO
血液型を間違えて覚えてる人や自分のタイプを知らない人って意外に多いです。けっこういい加減に調べてた時期もあったようで、さらに重病や大ケガにならないと知らずに過ごしても大して日常生活に影響ない、ということで放置されてきたんでしょうか。しかし、大災害はいつどこで起きるかわかりません。血液型がわからないと輸血もできない。これは、意識不明なケガ人や自分の血液型を知らない人のタイプを簡易的に調べることのできるキットを紹介する記事。輸血は一分一秒を争うことが多い。こうしたものがあちこちにあると安心なんじゃないでしょうか。

高齢者のインターネット利用者は健康的
社会風刺
これを読むと、どうやらネット利用者は、日頃から運動をしたり健康的な食生活をしたり、さらに喫煙しない人が多いようです。本当かな。パソコンの前にずっと座って運動不足な身からすると、どうも納得できかねる。運動せねば、と思わせてくれる記事でした。

Blue Light May Be Better Than Coffee for Boosting Brain Power
lifehacker
駅のホームに飛び込み自殺防止用の青色照明が使われるようになったのは、ここ数年の間です。色彩心理の研究によると、青色は人を冷静にさせる効果があるとされ、赤色の部屋より青色の部屋のほうが脈拍などの生理状態が落ち着く、という臨床上の研究結果もあるらしい。この記事は、青色の照明には逆にカフェインの効果を高める覚醒作用がある、と書いていて、実験によれば意志決定や視覚的な反応のスピードが上がったそうです。コーヒーを飲むときは、青色照明にしたほうがいい、というわけです。


アゴラ編集部:石田 雅彦