「特定秘密保護法案」議論は想像力の欠如が問題だ

アゴラ編集部

どうも一部の跳ねっ返りとマスメディアだけが騒いでいる感のあるのが「特定秘密保護法案」です。ほとんどの国民にとって、国会で何が行われているか、マスメディアを通してしか伝えられないため、かなりバイアスがかかった情報しか広がっていない状態。ネットを検索しても百家争鳴喧々囂々、とても侃々諤々の議論が行われているとも思えません。国防などスパイ行為への厳罰化の必要性は充分に理解できるんだが、漠然とした「不安」だけがジワジワと蔓延している、という状況です。たとえば、一部の人たちの間では、重箱の隅をつつくように文言にこだわったりしてるんだが、法律というのはその運用が誰がどうやって行使するか、というのが問題なのに、そこあたりの議論はあまり聞こえてきません。


そもそも日本の法律というのは、この「特定秘密保護法案」に限らず、具体的な運用について玉虫色で曖昧模糊としているものが多いようです。そこには、将来的に行使者にフリーハンドの余地を残し、融通無碍に適応範囲を可変できるようにしとこう、という意図が感じられます。どうしてそうなるのか、と言えば、法案を考えるのがだいたいにおいて役人が多く、各省庁の「省令」や「通達」などで具体的な適応範囲を決めたがる、という彼らの習性があるからでしょう。

また、立法府で法律を決める国会議員たちに、各法律が将来、自分たちの手足を縛るかもしれない、という想像力が欠如していることも大きいのかもしれません。細かい適用については役人に丸投げ、という姿勢も問題なんだが、とりわけ国民の権利義務に関する法案について当事者意識が低すぎる。こうしたトランプのジョーカーになりかねない法案は、将来、どんな政権ができるかわからないことを想像すると怖い。今回の議論でも、特定秘密の指定や解除をチェックするための第三者機関を「政府の中」に設置するらしんだが、議会で多数派を形成した政権が対立勢力に対する「弾圧的法案」を作る危険性を国会議員が真剣に考えているとは思えない。

また、マスメディアの態度にしても煮え切らないものが少なくありません。従来なら役人からの「リーク」で記事を書けたのに、この法案成立によりできなくなるから反対の論陣を張ってるんじゃないか、と邪推されかねない。そもそも反対する野党が最初に考えた「特定秘密保護法案」は、国会で議論する焦点としては筋が悪い。いずれにせよ、昨日の12月5日に参議院の特別委員会で可決され、今日6日にも参議院本会議で採決され、可決成立するでしょう。自公政権の菅義偉官房長官は5日夕の会見で「国民の理解は得られた」と言っています。運用者の「性悪説」に立って上記のことを考えると、理解はしているが不安、といった状態なんじゃないかと思います。

日々雑感
特定秘密保護法は誰のために何のために作るのか。


Corporate culture of respect prevents sexual harassment in the workplace
PHYS.ORG
「ハラスメント」は生物固有の性質なのか、ちょっと疑問なんだが、人間は逃れられないその社会的ストレスからか、さまざまな形で「嫌がらせ」や「意地悪」をします。社会の所属構成が複雑だと、こうしたハラスメントも複雑化し、同じように階層化し、時にはネジレ逆転し反語的な意味合いで行われたりもする。有性生殖の生物では、オスとメス、男と女という二種類に単純に分けられ、異性間のハラスメントはわかりやすいんで最近、先進国で問題として取り上げられるようになりました。しかし、異性間の関係も「企業」という多種多様な階層が入り交じった環境下では途端に複雑化する。必ずしも男が加害者で女が被害者ではないケースも少なくない。この記事によれば、企業という組織においてはとりわけ社員が相互に尊重し合うことが重要らしい。また、経営者や上司などの管理者がハラスメント行為が明らかになったときにすぐ的確に断固たる措置をとる、という態度を取ることでハラスメント被害を広げる危険性を少なくできる、と書いています。

Researchers use NSA’s own tactics to see how invasive NSA spying is
BGR
スタンフォード大学の研究者が、スマホなどの携帯端末からどうやってNSA(米国国家安全保障局)が秘密を抜き出すか、その技術を調べてみた、という記事です。独自の音声アルゴリズムを用いた「Metaphone」を作り、Facebookのアンドロイドアプリから情報を抜き出してみたらしい。これによれば、約60%の正確さで求める情報を得ることができたそうです。

「制服ユニバ」ブームの背景には関西人の東京コンプレックスが存在していた?
グダちゃん日報
大阪、という土地は日本でもちょっと風変わりな街です。気質はもちろん言葉なんかもかなり違う。そんな「異質文化」だからテレビなんかの芸人として珍しがられ、見世物として成立するんでしょう。そんな大阪で「制服ユニバ」なるものが流行ってるらしい。これ、東京ディズニーリゾートへ大学生が高校の制服を着て行くことの「大阪版」。「ユニバ」というのは「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」のことです。大阪人の東京コンプレックスはいわずもがななんだが、なんでも大阪流にアレンジしてしまう発想がユニークですな。

ヤフーが、「Yahoo!検索(画像)」のタブレット版をリリースしました。
WEB2.0とパソコン講座
画像検索で何を探すのか、と言えば、まあ目的はだいたい決まってますな。ただ、まだ欲しい画像がすぐに出てくるまでにはなっていない。「これじゃない」という声があちこちから聞こえてきそうなんだが、Yahoo!は検索でもGoogleにやられっ放しなんで頑張ってほしいもんです。


アゴラ編集部:石田 雅彦