実態にそぐわない経済政策 ~ アベノミクスの画餅 --- 岡本 裕明

アゴラ

今日発表になったアメリカの雇用統計の前にどういう予想をしていたのか市場関係者はあっさり忘れてしまったかもしれません。雇用統計の数字が想定より悪ければ景気への失望感から株価は下がり、想定よりよければ金融の量的緩和からの離脱時期が早まるために株価は下がりやすいと予想されていました。つまり想定どおりでなければ株価は下がると言わんばかりの解説が並んでいました。


発表された11月の雇用はネットで20万3千人の増加で当初予想の18万5千人を上回り、更に失業率は0.3%ポイントも下落し7.0%と相当良い数字が並びました。それを受けてニューヨークのダウは200ドル近い上げ幅を記録、合わせてドルが買われるという結果となりました。市場の予想は何だったのでしょうか?

ただ、量的緩和の離脱時期はこれで一歩早まった可能性はあります。専門家の予想は1月説と3月説がより増えてきている感じがいたします。私はまだ慎重姿勢を崩していませんが、その理由は債務上限と暫定予算の話は1月からであり不安要素があること、またハト派のイエレン氏は「目標数字が安定する」ことを政策変更の理由としていますので6.5%の失業率まではまだ遠い道のりだと思っているからであります。

更に通常、11月の雇用はクリスマス商戦に伴う雇用、特に配達関係の雇用が増える年末の独特の動きですので1月に振り戻される可能性は見ておく必要があるのです。特に労働参加率も0.2%ポイント改善して63.0%となっていることから11月の雇用統計は良すぎる数字ではないでしょうか?

さて、株式市場をみるとアメリカは高値圏にあるものの一喜一憂の状態が続きます。日本の市場も同様なのですがここ10日ぐらいは若干先物の売り崩しがみられ、NTレシオの調整もあった気がします。13日の先物の裁定があるものの9日の東京市場は大幅高から始まるはずで為替のサポートもあり、ここからいよいよ高値更新となる公算はありそうです。

ただ、来年以降の専門家の株価予想が18000円水準が増えている中、アベノミクスの矢は果たして的を射るのか、という心配も出てきそうな勢いとなるでしょう。特に消費税が4月から上がることで反動はある程度、構えておかねばなりません。5兆円規模の経済対策も消費税上げのタイミングとは当然ずれ込みが生じるわけですのでこのあたりはネガティブインパクトになります。

今回、東京で建設会社と話をしてきた限りではゼネコンはそれほど潤っていないという感じに見受けられます。オリンピックも実質的な工事は2年後からですから決算に反映するのは3年後。それ以上に今まで請けた仕事に対して人件費は場合により15%ぐらいアップ。モノはあれど据え付ける人間がおらず、仕事を消化できない状態となっています。特にエレベーター関係などは大手を中心に注文を受けない状態とも言われています。中小の施工会社も工事見積も受けてもらえないし、公共工事の入札は不調が続いています。

つまり、政府がどれだけ声高に予算をばら撒くといってもそれらの仕事の消化能力がないのですから如何に実態とあっていない政府対策かということがそのうちに数字として出てくるはずです。これを踏まえればアベノミクスが絵にかいた餅とまでは言いませんが、市場に相当いびつな力学を強いているともいえるのかもしれません。

アメリカも日本もまだまだ安心できる状態にはない気がしております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年12月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。