さて朴クネ大統領の就任以来ほとんど大臣レベルのやり取りが無い日韓外交ですが、2014年1月に財務省会合が開かれるようで漸く雪解けの気配が見えてきました。
これは歴史認識や慰安婦問題の解決と全く関係なく、単にチェンマイイニシアチブの解消を見越して、外貨準備態勢が脆弱な韓国が日本との通貨スワップ体制を継続する必要に迫られてアピールしてきたものと思われます。
アジア通貨危機の反省を踏まえてつくられたチェンマイイニシアチブは、ASEAN+3(日中韓)で多国間で通貨危機の際に2400億ドルに上る資金を融通する仕組みを整えたものですが、どうやら2015年2月の期限をもって予定通りに解消される模様です。その証左に先日のASEAN+日会合で、チェンマイイニシアチブとは切り離した形で日本はインドシア、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシアと個別に通貨スワップ協定交渉をスタートさせました。
中国との関係悪化があるとは言え日本側がここまで強気に出ることは韓国としても予想外だったでしょう。(民主党政権だったら違う動きに出ていたように思われます。)そんなわけで外貨準備に常に不安を抱える韓国としては日本との妥協点を探るべく交渉を打診してきたといったところでしょうか。
より端的に言えば、外交は歴史認識だとか心の問題だとかに多少左右されることはあれど、本質的には「金か安全保障」の問題なのだということでしょう。韓国内でも朴大統領の強行姿勢に対しては批判が広がっているようで、さらには今月初めに韓国に訪問したアメリカのバイデン副大統領も「中国にこれ以上近づくな」と朴政権に警告したようですし、日本としてもこれ以上放置しておくと下手したら韓国が中国との通貨スワップ枠を拡大して同国に依存しかねずそれはそれで問題なのでこの変で手打ちにするタイミングなのでしょう。
2012年8月の李明博大統領(当時)の天皇陛下への謝罪要求以来凍ってきた日韓外交ですが、これ以降歴史問題を利用した各国における韓国のロビイング活動にも折れず安倍政権がぶれない姿勢を続けてきたことはやはり正解だったようです。今まで先方の機嫌を損なわないようにおっかなびっくり対応してきた日韓外交ですが、漸く対等な関係となりそうです。ということで個人的にはタイトルのような感想をもっています。
これまでは過度に期待して上手く噛み合なかった日韓外交ですが、ある意味お互いが割り切ることで漸く対等な国同士のフェアな関係になりそうで喜ばしい次第です。対中問題では日韓はなんだかんだ歩調を揃えなければ行けない関係なので、今後はお互い信頼とは言わないまでも、より合理的、打算的な関係になることを願っています。
ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2013年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。