アゴラ読者の皆さま、本年もご愛読いただき、ありがとうございました。ネット上では、さまざまな話題、ニュース、議論があった一年かと思います。アゴラにも多種多様な記事が投稿され、本年も活況を呈しておりました。投稿記事がこれほど多いのも読者の皆さまのご支援のたまものです。編集部では内容を充実させるよう心し、より読み応えのあるサイトにするために努力していくつもりです。2014年もよろしくお願い申し上げます。
さて、本年最後の「今日のリンク」は、アゴラ上で各月にアクセストップになった記事を紹介しましょう。今年を振り返る意味で再読してみてもいいかもしれません。
まず、2013年1月は、中嶋よしふみ氏の「国が1兆円もかけて電機メーカーの設備を買い取るらしい」です。電機メーカーの設備を買い取る特別目的会社を1兆円もの公的資金を使い、官民共同で設立する、という記事から行政の私企業や業界支援に対して批判する、という内容。ガラパゴスのゾンビ業界が延命する一要因になっています。
2月のトップは、AKB48騒動と世界的報道カメラマンの仕事とを対比した石井孝明氏の「女性の丸刈りを映す2つの異様な写真–AKB48峯岸みなみ、ロバート・キャパ」。20万PV以上をたたき出した投稿です。横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー展」が開催されていた、というタイムリーさも注目でした。
3月は、ちょうどブラック企業が話題になっていたころでもあり、辻元氏の「ユニクロの高い離職率が意味するもの」がトップです。人材の重要性はどの企業でも共通だと思っていたんだが、そうでもない業態業界もあります。そうした背景から、辻氏は労働力の二極化について書いています。
4月は、再度、中嶋よしふみ氏の「女子大生でも分かる、3年間の育児休暇が最悪な結果をもたらす理由。」。安倍内閣が女性人材の登用、という題目で新機軸を打ち出したことを受け、育児休暇の問題点を指摘しています。
5月のトップは、これも再度、石井孝明氏の「『放射能測定、この人は嘘つきだ』–郡山市民に訴えられた公立中学校教師その1」でした。原発事故後、各自治体で除染作業が続けられていますが、基準があいまいで賽の河原で石を積むのにも似たものになっている。そうした中、この投稿で紹介されているものも含め、ネット上には虚実入り乱れた情報が出ています。情報をどう受け取るか、リテラシーが求められる時代になっています。
6月は、一般投稿から渡辺龍太氏の「世界で勝ち抜けない『時間にルーズ』な日本人」が最もPVを集めました。日本人は時間に正確、という「常識」に一石を投じた内容。こうした「常識」に対して疑問を呈する投稿は、かなり強く読者の興味をひくようです。
7月は三回目のトップおめでとうございます。石井孝明氏の「山本太郎氏当選に思う–噛みしめるべき格言『教育のない民主主義は無意味』」が輝きました。同月に行われた参議院選挙は自民党の圧勝だったんだが、その一方でユニークな議員も誕生しました。山本太郎氏もその一人。これは彼の言動を批判的に眺める投稿です。
8月も石井孝明氏の投稿がトップPVでした。石井氏は今年は5回もトップになっています。記事は「『はだしのゲン』騒動のばからしさ」。ちょうど島根県の図書館で地元の教育委員会があるマンガ作品の一部閲覧制限を行った、というニュースについて考え、その中から自身の読書体験について書いている投稿です。
9月のトップは、一般投稿から多田純也氏の「マクドナルドから『バカッター』が出ない理由」が4万PVあまりを集めました。SNS上に愚かしい行為を撮影した写真をアップし、ネット上で炎上する「バカッター」とハンバーガーチェーンの対応について書いています。
10月は、中村伊知哉氏の「書評:櫻井孝昌『日本が好きすぎる中国人女子』(下)本気度の問題」です。中国市場を見据え、家電や自動車だけではない「文化」の輸出について、韓国との違いについて紹介しています。韓国がどうして「文化の輸出」に邁進するのか、と言えば、それ以外に売るものがあまりない、ということにつきる。国内市場が小さ過ぎるんでしょう。
11月、石井孝明氏の「醜悪な山本太郎議員の直訴–田中正造との比較から」がトップです。すでに同氏の「天敵」となった山本太郎氏が、またまた騒動を起こした、というキャッチーな話題が注目を集めたようです。後半は「二人の田中」についての記述。ネットリテラシーを磨くための秀作です。
12月は、大西宏氏の「特定秘密保護法反対運動で残念だった日本の知性」が最もPVを集めた記事でした。いわゆる「特定秘密保護法」については、ネット上にも多種多様な意見があがっていたんだが、この事例に限らず客観的な判断を阻む「ノイズ」にも注意、というわけです。
こうしてアゴラで注目された記事を振り返ってみると、石井氏の投稿ばかり目立つものの、やはり読者や「ネット民」が興味を持つ時事ネタ、キャッチーでタイムリーな内容のものがよく読まれているようです。PVだけが基準でも全てでもありません。たまたま1位に特定の筆者の記事があがっただけで、もちろん僅差の2位以下にも多くの秀逸な記事がひしめいています。また、当コーナーの記事が一つもトップに入っていないのは悔しいですが、月別の著者ごとのランキングでいえば、石井氏トップの2月以外、1位と2位はアゴラ研究所所長の池田信夫かアゴラ編集部になっています。
アゴラの主旨の一つは「専門家とネット読者とを結ぶ言論プラットフォーム」です。専門家ばかりではなく一般投稿者も参加して熱い議論を繰り広げる、そうした「場」の提供もアゴラの使命だと思っています。アゴラ編集部は、多種多様な内容の投稿が随時活発にアップされ続けることを願ってやみません。ぜひ一般読者の方も「投稿」してみてください。それでは、2014年が読者の皆さま、アゴラ投稿メンバーの皆さまにとって素晴らしい一年になることを祈っています。
アゴラ編集部:石田 雅彦