2014年の大発会で大きくコケた米株相場。サンタ・ラリーに沸いた年末と裏腹に、エコノミスト予想平均より強い米指標の反応に乏しくなって来ました。
米12月ADP全国雇用者数が2012年11月以来の高水準でも、米新規失業保険申請件数が5週ぶり低水準でも、なんのその。米12月チャレンジャー企業人員削減件数が2000年6月以来の低水準だったほか2013年ベースでは1997年以来の改善を示しながら、買いの反応は限定的でした。
1つに、10~12月期決算の内容を見極める動きが出てきたといえます。
2つめに、昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で挙げられた「バブル警戒」を挙げたい。
小型株指数のラッセル2000の株価収益率(PER)をみると、12月時点で40倍を超え現状でも高止まりです。40倍といえば、ITバブル時代のナスダックのレベルですよ。
S&P500をみると、こちらはまだ17倍程度に過ぎません。
3つめに、景気楽観が過ぎて利上げ織り込み度が前倒ししてきたことにも注意が必要です。
FF先物、2015年3月限をみると13年12月から低下を続け一時99.685をつけました。
FF先物は100マイナス99.685イコール0.315で、現状のFF金利誘導目標が「0~0.25%」ですから、2015年3月末までの利上げ観測が強まったといえます。利上げ予想の大勢が2015年終盤だったことを踏まえると、劇的な変化です。テーパリングのペースも、必然的に加速を織り込んでくるでしょう。
決算前の見極め以外の2点を踏まえると、米12月雇用統計が予想以上に強い数字が出てくれば 1)上昇しても割高観、2)利上げ観測前倒しで調整──のシナリオが考えられます。ちなみに、米12月雇用統計のウィスパー・ナンバーは25万人増ですって!景気楽観派なら、こんな強気の数字を材料視し事前に買い仕込みしてたり……。
足元で、ツイッターを筆頭とする急伸銘柄を中心にアナリストが軒並み割高観から格下げを発表しています。少なくとも、マーケットではあらためて調整催促ムードが漂っている気がしてなりません。Fedが低金利の団扇であおげば、戻りも早そうですけどね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年1月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。