「合成音声」の違和感がなくなる日

アゴラ編集部

スティーブン・スピルバーグ監督が映画『A.I.』を作ったのが2001年でした。この作品、元々は映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey、1968)で人工知能「HAL9000」を登場させたスタンリー・キューブリック監督が撮るはずだったものを、同監督の死後、スピルバーグ監督がその意志を継いで映像化させたものです。人工知能「AI」は「Artificial Intelligence」の頭文字。コンピュータに人間と同様の知能をもたせよう、という技術です。


日本の人工知能学会については、学会誌の表紙が女性差別なのでは、とネット上で話題になってるんだが、それは各項目リンクのほうへまかせ、こっちでは人工知能と「人工知能的」な技術について考えてみたいと思います。そもそも人間の「知能」とは何か、という「哲学」の問題も横に置いておくとすれば、アラン・チューリングの「チューリングテスト」の基準をクリアしたものが「人工知能」と呼んでいいんじゃないでしょうか。

このテスト、ようするにコンピュータによる応答が人間と同等でその差がわからないかどうかを試すものです。判定するのは人間で、ブラインドの向こうにいるもう一人の実際の人間とコンピュータと会話する。判定者は、実際の人間とコンピュータの区別がつくかどうか、というわけです。もちろん、以前は音声で応対するとわかってしまうので、チャットのようにキーボードでのやり取りで判定していました。

しかし、最近になって「合成音声」や「自動音声」の技術がかなり発達しています。当方、仕事中にラジオを聴いているんだが、お気に入りはインターネットラジオの「湘南ビーチFM」。このラジオ局のニュースが「合成音声」になり、リスナーからいろいろな意見が寄せられているらしい。使われている技術は「エーアイ」という会社のモノで、多少たどたどしいがかなり聞き取りやすく進化しています。

もともと「湘南ビーチFM」のアナウンサーは、ちょっと稚拙なところがあって、よく「噛んで」たりしました。地元の葉山警察署の婦警さんが警察情報などを伝えるために出演するんだが、婦警さんのほうがよほどしっかりした口調で発話していて感心するくらい。NHK出身の同放送局代表である木村太郎氏も『「合成音声」でまったく問題ない』と言ってるようです。

この「合成音声」や「自動音声」は、すでに我々の日常のいろいろなところで活躍しています。開発された技術もいろいろある。「日立」のものや光学機器の「HOYAグループ」、「ソニーの音声合成アプリ」といったものがあります。NHKラジオの気象通報は、この春にも「合成音声」化されるようだし、近いうちに「株式市況」にも導入されそうです。

ところで、ヒューマノイドロボットの技術では、いわゆる「不気味の谷」と呼ばれる人間とマシンの境界があります。あまりにも人間に似過ぎると、逆に不気味な感じがする、というもの。「合成音声」もちょっと聞くだけで、まだまだ抑揚や音節、イントネーションなどが人間と違うのがわかる。外見的な「不気味の谷」と同じような感覚が、音声でもあるのかどうか。まったく人間と同じだと、不自然な違和感、不気味な感情を抱く可能性がある。

このまま「合成音声」が発達し続けていくなら、どこかに「これは生身の人間ではない機械が話している」という部分を残しておいたほうがいいのかもしれません。これは「チューリングテスト」とは違う、我々、技術の使用者を考えた繊細さでしょう。「人工知能」は単にそれだけでは成立しません。すでに、外見や音声といったインターフェースについて考える段階にきている、というわけです。

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サントリーが買収するBEAM(ビーム)って、どんな会社?
MarketHack
メーカーズマークやカナディアンクラブ(通称CC)なんかは昔はよく飲んでました。ジムビームは飲んだことないかも。ここんところ、洋酒、特にウィスキーやバーボンは悪酔いするので避けてます。日本人の遺伝子には純米の日本酒か焼酎がもっともしっくりくるんじゃないか、と思います。これはもうどうしようもない。この記事では、サントリー傘下になったビーム社について書いています。サントリー株も上昇中なんでしょうか。

1トライの地力差かも「帝京と早大」決勝
森功のブログ
大学ラグビーの栄枯盛衰、というのは、ここ十数年でけっこうめまぐるしいです。明治も慶応も同志社も法政も、いわゆる「伝統校」と言われる大学が軒並み弱くなっている。関東学院大も一連の不祥事以降、どうも元気がありません。ひところサモアやフィジーなど南太平洋出身者を入学させて隆盛した新興大学もあったんだが、今では帝京大がモノすごく強い。五連覇ってなんなんだよ。他大学が不甲斐なさ過ぎだ。大学スポーツには一般的に「金をかければ強くなる」という単純なシステムがあります。様々なインセンティブで有望な高校生を入学させ、高額なギャラで専門家を呼んできて上意下達式でビシバシやる。そうやればそこそこ強くなります。しかし、いちおう教育だから学生の自主性にまかせる、という大義名分が前面に出ると、なかなか強くなれません。大学スポーツの本音と建て前がそこにある。早稲田なんかは名前もあり金もかけるので当然いろいろな分野のスポーツが強い。法政なんかはブランド力が劣っている上に学生自主という建前を捨てきれないんでラグビーはもちろん野球もアメフトもなかなか強くなれませんね。昨今の帝京ラグビーが強いのも、かなり金をかけて上意下達式でビシビシやってるからじゃないでしょうか。ただ「伝統校」が強くないと大学ラグビーは盛り上がらんな。あと、リーグ戦と対抗戦、そろそろ合体させたらどうなのか。

HIP HOP/R&Bの老舗〈Manhattan Records〉に迫る! 大人気コンピ『THE HITS』のコダワリとは…?
Qetic
渋谷もずいぶんと変わりつつあるんだが、東急ハンズの裏手、NHKへ抜ける昔の渋谷公会堂の間の界隈は、けっこう雑居ビルや雑居マンションが建ち並んで、ちょっとしたカオスっぽい雰囲気があります。いまだに60年代の香りがまだ嗅げるんじゃないか、って感じ。CISCOというレコード屋があったり今もまだマンハッタンレコードがあったり。クラブ系、DJ系の人ならマンハッタンレコードにはよく行くと思います。一階はもうヘッドホン売り場の様相を呈していてアナログレコードなど影も形も見えません。この記事では、マンハッタンレコードの人にインタビューしてます。80年代からあるらしい。あら意外に新しいのね。

海外で危険な目に遭わないために注意するべきこと
Gigazine
治安がいいと言われる日本でも時間と場所を選べば、ちゃんと危険に遭遇できます。「ここはヤバそう」という嗅覚は常に研ぎ澄ませておきたいもんです。海外旅行は魅力的なんだが、日本のように時間と場所を選べば危険に遭遇する可能性を低くできる。エクアドルの日本人新婚旅行者が強盗団に襲撃された事件は記憶に新しい。この記事では写真でわかりやすく「危険度」の多寡を紹介してくれています。トイレが破壊されている、落書きが多い、店舗やビルの警備が厳重……といった場所には長居は無用です。


アゴラ編集部:石田 雅彦