都知事選に立候補の意思を見せていた細川護熙元首相の出馬会見が延期されています。他の立候補者は細川氏の動きを横目でちらっと見ながらも自分の戦いにまい進しているように見えます。
細川氏、本当に出馬するのでしょうか?
私は氏が今、迷っているように見えるのです。もともと、民主党から声掛けしてもらった際、固辞しました。それは民主党とウマが合わないということはあったのかもしれません。その後、小泉元首相から熱烈なるエールをもらい、壇上に上がる階段のところまでは来たのですが、スポットライトに照らされる自分を今、想像しながら、これが自分の描いている道か、葛藤が起きているようです。理由はなぜでしょうか?
もともと、自分から表舞台に立つつもりはなかったのです。担ぎ上げられた、というのがもっとも正しい表現でしょう。そして、政界から引退して20年近くにもなり、人的交流はあったものの自分がその前線に立つというのは思ったほど簡単なものではないということを改めて悟っているのかもしれません。それは20年前にはなかったネットという手段を通じて国民のボイスがダイレクトに伝わってくる仕組みが彼には残念ながら斬新すぎるのかもしれません。
そして、年齢もまた、コンサバな気持ちを後押しするかもしれません。1月14日で76歳です。他の候補者も60代半ばが揃っているという点では企業の活力に例えればあまり好ましいわけではないのですが、76歳で立候補し、仮に80歳前後までやるとなると都民が萎えてしまわないでしょうか? 高齢者の支持者層には良いのかもしれませんが、オリンピックを控え、デフレ脱却にカジノの案もあり、国家戦略特区もある中で東京都に求められるものは何なのでしょうか?
もう一つは脱原発の争点であります。これはメディアを含めて大きく取り上げらていますし、私も先日のブログで書かせていただきました。原発問題は国策であって都知事レベルの問題ではないのですが、論点をすり替えることで撹拌させる意図が見て取れるのです。ところが、脱原発という点では舛添氏も宇都宮氏もその方向を主張しておりました。つまり、他の候補者との争点にならないということであります。
その上、メディアでは氏の著書に、オリンピックの誘致について原発の影響があることを鑑み、日本には誘致しない方がよいという趣旨の内容を記していることが紹介されていました。これは細川氏にとっては大きな打撃となります。
つまり、氏の出馬に対してあまりにも強い向かい風がすでに吹いているということです。これは出馬の会見をする前の段階としては異例であると思えます。ではなぜでしょうか? 上述したようにネットによる情報の拡散がありますが、思った以上に氏のスタンスに対して批判的なボイスが多いことにやや、意図的な感じがしないでもありません。これは日本のメディアの傾向にもあるのですが、ある一定方向に盛り上がるととことん、突き詰めるという癖がある中(猪瀬元知事の時もそうでした)、細川氏に出馬させないようにしているように見えるのです。
そして、仮に出馬した場合、以前書きましたようにある程度の混戦が見込まれそうな気がしております。つまり、簡単に勝てる勝負ではないという中でその本気度が問われているということでしょうか?
出馬会見は早いに越したことはありません。それをぐずぐず延ばしているのは戦略的にそうしているのか、世論とのすり合わせをしているのか、他の候補者の出方を見ているのかのどれかだろうとは思います。事実、出馬はなるべく遅く、というのが小泉氏とのもともとの打ち合わせだったと記憶しておりますのでもしかしたら準備万端かもしれません。が、都民、そして世論は案外、新鮮さを感じなくなりつつあるかもしれません。
個人的には出馬を止めるという選択肢が大きく開いてきたように感じております。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年1月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。